鼻の病気
オールシーズンで苦しめる、つらい症状
アレルギー性鼻炎
監修・取材協力:耳鼻咽喉科・アレルギー科
中山 里香医師プロフィールへ
- アレルギー鼻炎には通年性と季節性がある。
- 通年性は一年中症状があるもので、季節性はいわゆる花粉症。
- 三大症状は、サラサラと水のような鼻水、くしゃみ、鼻づまり。
- 検査をして原因物質を把握し、治療や対処法を考える。
- 治療法には、薬物療法、減感作療法、手術療法がある。
- アレルゲンがスギ花粉かダニの場合のみ、舌下免疫療法ができる。
- 原因物質の除去・回避が重要。
- アレルギー性鼻炎の基礎知識
- アレルギー性鼻炎の近年の動向
- アレルギー性鼻炎の症状
- アレルギー性鼻炎の検査方法
- アレルギー性鼻炎の原因
- アレルギー性鼻炎の治療方法
- アレルギー性鼻炎の合併症
- アレルギー性鼻炎の予防・対策方法
- アレルギー性鼻炎のセルフチェック
アレルギー性鼻炎の基礎知識
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどが原因となって、鼻粘膜に生じるアレルギー疾患で、一年中症状がある通年性アレルギー性鼻炎と一定の季節や時期に生じる季節性アレルギー性鼻炎に分類されます。
通年性アレルギー性鼻炎は、季節に関係なく症状がでるもので、ハウスダストやダニ、ペットの毛やフケなどが原因となります。
季節性アレルギー性鼻炎は、いわゆる花粉症と呼ばれるもので、代表的な春のスギやヒノキをはじめ、初夏のイネ科、秋のブタクサなどが有名です。
周囲に原因物質がある限り、症状が続くため、原因物質となるアレルゲンを把握して取り除くことで、症状を抑えることができます。
アレルギー性鼻炎の近年の動向
近年、アレルギー性鼻炎は、発症が低年齢化しており、国民の約4割がかかっているとされています。また、花粉症は日本人の4人に1人が患っているとされています。アレルギー性鼻炎全体では、鼻アレルギー診療ガイドライン2016年(第8版)によると、1998年には29.8%であったのが10年後の2008年には39.4%となり、ほぼ10%の増加となっています。
アレルギー性鼻炎の症状
アレルギー性鼻炎は、抗原に暴露されることにより、体の防衛反応が過剰に働いてしまうことが原因で起きます。体が原因物質を、体から追い出そうとして症状が出ます。
三大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりになります。一日に何度も症状が繰り返され、鼻水はサラサラと水のように流れるのが特徴です。そして、アレルゲンにより、目や喉の痒みも起こり、頭痛、思考力の低下、食欲不振、睡眠障害などの随伴症状が起こることもあります。
アレルギー性鼻炎の検査方法
鼻の診察と問診で診断可能です。さらに、アレルギーの検査(採血、皮膚反応テスト)により、疑わしい原因を調べることができます。血液検査でアレルギーに関連性の深い好酸球やIgEなどを測定したり、原因物質の特定を目的として特異的IgE抗体を測定して調べます。皮膚の反応をみるプリックテストやスクラッチテスト、皮内テストでは、原因として疑われる物質でアレルギー反応が誘発されるか確認します。鼻の反応をみる鼻粘膜誘発テストなどもあります。その他には、鼻汁検査によって鼻汁中の好酸球を顕微鏡で調べたり、鼻鏡検査によって鼻の粘膜を確認します。
アレルギー性鼻炎の原因
原因物質はさまざまありますが、ハウスダストと花粉が二大原因とされています。通年性アレルギー性鼻炎の原因としては、ハウスダスト、ダニ、動物の毛・フケ、カビ、虫(蛾など)などがあり、季節性アレルギー性鼻炎の原因としては、花粉が最も多く、国内だけでアレルゲンとなる植物が60種類程あると言われています。アレルゲンとして代表的なものは、春のスギとヒノキになります。他には、初夏にカモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科の植物、秋はブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの雑草です。また、10月〜11月にもわずかにスギの花粉が飛ぶことがあります。少し肌寒い春先の気候に似たこの時期に、スギが勘違いをして花粉を飛散することがあるようです。
アレルギー性鼻炎の治療方法
アレルギーの三原則は、原因の除去、食生活の改善、薬となっています。治療としては、基本的に原因物質の除去・回避が重要となります。抗原が鼻内に入らなければ、アレルギー反応は生じないため、原因物質を回避する対策をとります。病院での治療は、症状や必要に応じて治療法が決定され、治療法には薬物療法、減感作療法(アレルゲン免疫療法)、手術療法などがあります。
また、規則正しい食生活と共に腸内細菌を整えると良いとされています。オリゴ糖を含む野菜類やヨーグルトは、正常な腸内細菌を増やすと言われているので、摂取を心掛けましょう。
・薬物療法
一般的に使われる内服薬は抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬になります。主症状が、くしゃみ、鼻水の場合は、抗ヒスタミン薬を使用し、鼻閉の場合は抗ロイコトリエン薬が推奨されます。中等症以上では局所治療効果を目的に点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬、鼻噴霧用血管収縮薬)も使用します。
・減感作療法(アレルゲン免疫療法)
アレルギーの原因であるアレルゲン(抗原)を少量ずつ体内に投与して、体をアレルゲンに慣らすことで症状を和らげていく治療方法になります。以前は皮下への注射による方法のみでしたが、アレルゲンがスギ花粉とダニによる場合は、舌下免疫療法という舌下投与による治療が行えるようになり、自宅で服用することができます。4年ほどの長期間の継続治療になりますが、高い治療効果があります。
・手術療法
薬物療法で結果が得られない場合は、症状に応じて、レーザー治療、後鼻神経切断術、粘膜下下鼻甲介骨切除術などから選択し、手術を行う場合もあります。
アレルギー性鼻炎の合併症
副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎の予防・対策方法
予防としても、原因物質の回避が重要となります。通年性アレルギー性鼻炎の場合は、室内のこまめな掃除や、寝具・クッションなどの外干し頻度を増やしアレルゲンを取り除くなどの対策を行い、季節性アレルギー性鼻炎の場合は、飛散の情報に注意して、多い日は外出を控えたり、外出時にはマスクや眼鏡を着用するなどし、帰宅の際は玄関に入る前に洋服を叩いて、花粉を落としてから入るようにしましょう。
アレルギー性鼻炎のセルフチェック
対策はしっかりできていますか?
□ 花粉情報に注意し、飛散の多い時は外出を控える。□ 外出時にマスクや帽子を使用し、眼鏡をかける。
□ 外出のアウターは、花粉の付着しにくい生地を着用する
□ 外出から帰ったら、うがいや洗顔をし、鼻をかむ。
□ 頭髪や衣服についた花粉を落とす。
□ 窓は早朝や夜、雨の日に、2ヶ所以上、レースを閉めて10cm程開ける。
□ 換気後は、掃除をする。
□ 洗濯物や布団を外に干さない。
□ 窓際や玄関を念入りに掃除する。