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予防して皮膚トラブル回避!
夏の皮膚の病気

監修・取材協力:皮膚科・アレルギー科
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、臨床研修指導医
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澁谷 佳直

Medical.T 編集部 M.Hioki

日差しが強くなり始めるとともに増え始める皮膚トラブル。紫外線はもちろん、高温多湿の日本の夏は、さまざまな皮膚トラブルが起こりやすく一年の中で最も多く皮膚病がみられます。予防法を知って、皮膚トラブルを防ぎ、早めに正しいケアを心掛けましょう。

夏の皮膚の病気-基礎知識

汗をかいたり、肌の露出が多い夏は、紫外線、虫刺され、植物かぶれなどの外からのトラブルや、汗、汚れ、感染症など、様々な皮膚トラブルにみまわれます。また、同じ環境でも痛さや痒さが我慢できる大人と皮膚が弱く免疫力の弱い子供では、症状や重症度が違ってきますし、同じ症状でも対処法が異なる場合もあります。
特に、夏の皮膚病としては、子どもの場合はあせも、とびひ、水いぼ、面疔(せつ)が多く、大人の場合は、水虫、光線過敏症、汗荒れがあげられます。レジャー先で起こりやすい植物による接触皮膚炎や虫刺されにも夏は要注意です。夏の皮膚炎は予防により防げるものが多く、肌を清潔に保つ工夫や、行く場所により肌の露出を控えるだけで、トラブルを防ぐことができたり、対処や応急処置を知っておくことでその後の症状の軽減にも繋がります。
さらに、紫外線による日焼け(日光皮膚炎)はもちろん、慢性的な紫外線の浴びすぎは肌の老化を進行させるだけでなく、皮膚がんや白内障などのリスクを高めることになります。夏場は日差しの強さに関わらず、日頃から日焼け対策を心掛け、自分の肌に合わせたUVケアをして効果的な予防をしましょう。

夏の皮膚の病気-近年の動向

高温多湿な日本の夏は、細菌やカビが繁殖しやすく、とびひや水虫などの皮膚の感染症が起こりやすくなります。発汗により皮膚のバリアが弱まることで、細菌の繁殖を招いたり、汗が皮膚を刺激して炎症を起こしたり、強い紫外線による日焼けなどで、皮膚の抵抗力が低下したりと、さまざまな皮膚トラブルが発生しやすくなります。
また、汗をかくたびに、石鹸で洗い流すなどをして、保湿をせず肌バリアを低下させてしまったり、アルコールやパラベンなどが入った汗拭きシートなどによる皮膚の炎症も増えています。
さらに、近年の女性の水虫の増加傾向は、かかとのスキンケアをすることで、逆に傷をつけてしまい、傷に菌が入って、感染してしまうことも多いようです。

夏の皮膚の病気-注意した方がよい人

□保育園や幼稚園などで集団生活をしている乳幼児
□肌が乾燥していたり、傷や肌荒れがある人
□紫外線対策をしていない人
□汗をかいたままにしている人

夏の皮膚の病気-出やすい症状

病原体によって異なりますが、最初は肌に赤みや皮疹などが出ます。かゆみは症状によって、出る場合と出ない場合があり、自覚症状が無いこともあります。アトピー性皮膚炎の子どもは、汗や虫刺されなどによって皮膚の炎症が起きやすく悪化しやすいです。

夏の皮膚の病気-考えられる病気

鼻を触る子は気を付けて!
とびひ(伝染性膿痂疹でんせんせいのうかしん)

主に黄色ブドウ球菌が、あせもや傷などの皮膚にできた浅い傷から細菌が入り、感染によって起こる皮膚疾患。感染すると水疱ができ、掻きむしった手を介して“飛び火”のように次々と広がることからの俗名です。鼻の孔の入り口には、原因菌がたくさんいるので、よく鼻を触る子は要注意です。

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自己判断しないで!
あせも

汗や汚れで汗腺が詰まり皮膚に炎症を起こす、かゆみを伴う発疹。引っ掻くことにより「とびひ」や、化膿して「あせものより(汗腺腫瘍)」と言われるおできができることも。また、おむつを付けている赤ちゃんは一見あせものように見えても「カンジタ皮膚炎」や「おむつかぶれ」など似た症状もあるので、早めに受診を。

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大人もうつる!
水いぼ(伝染性軟属腫でんせんせいなんぞくしゅ)

子どもに好発する小さな丸いいぼで、ウイルス性の皮膚感染症になります。接触感染以外に、タオルなどを介する感染もあります。アトピー性皮膚炎があるとうつりやすく、大人でも免疫力の低下や免疫が無い場合にはうつることもあるので、注意してください。

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夏の湿布は要注意!
光線過敏症こうせんかびんしょう

日光にさらされた皮膚に赤みや水ぶくれなどの炎症、かゆみを伴う皮疹ができます。遺伝や紫外線に対するアレルギーによるものなど原因は多岐にわたりますが、夏場はぬり薬や貼り薬を用いた部分に日光が当たり症状が発症することが多いようです。

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首回りにかゆい赤みが・・
汗荒れ

汗をかいた後、皮膚が薄くて弱い所や乾燥している所、摩擦や蒸れが起きる部分にかゆみや赤みを伴う、汗による接触性皮膚炎。汗の蒸発により塩分やアンモニアの濃度が高くなることや、汗が皮脂と混じった所にほこりなどが吸着したことで生じます。

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足汗そのままにしていると・・・
水虫(真菌症)

カビの一種である白癬菌が、皮膚の角質層に寄生することによって起こる皮膚病。9割が足に発症し、暑い時期に靴を長時間履き続けると、足が蒸れて高温多湿の環境を作り、靴の中で繁殖しやすくなります。最近では女性も一日中仕事で、靴を履いたまま過ごす人が増えたため、水虫に悩む女性も増えています。

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夏の皮膚の病気-治療方法

皮膚の病気や症状によって様々であり、清潔を保つことで自然治癒するものや、皮膚科を受診して、症状によって外用薬や内服薬によって治療するものがあります。

曇りでも要注意! 紫外線対策
①紫外線の高い時間帯は外出を避ける。
②目的別に自分に合った日焼け止めを使う。
③帽子、日傘を使用する。
④衣服などで覆う(UVカット加工は特に◎)。
⑤紫外線カット機能のサングラスをかける。
⑥日陰を利用する。

夏の皮膚の病気今すぐはじめる 予防と対策

  • 汗をかいたら、拭く、着替えるなどし、皮膚を清潔に保つ。

  • お風呂上りには、適切な保湿を行う。

  • 屋外はもちろん屋内でも紫外線対策をする。

  • 規則正しい生活をする。

  • 爪を短く切る

  • 自宅に帰ったら、まず足を洗う。(水虫対策)

夏の皮膚トラブル セルフチェック

□ 紫外線に長時間あたっている
□ 汗をかいたままでも平気
□ 家族でタオルを共用している
□ 紫外線対策をしていない
□ 爪が伸びている
□ 湿布薬などを多用する

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