夏の皮膚の病気

肌の露出が多い夏場は、接触しないよう注意!
水いぼ(伝染性軟属腫でんせんせいなんぞくしゅ)

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 小さな水疱のようないぼが皮膚に少量生じ、感染すると多数に拡がります。
  • 自覚症状はほとんどなく、わずかにかゆみを伴う場合があります。
  • プールなどに入っただけでは感染せず、肌と肌の接触により感染します。
  • 数年で自然治癒しますが、感染を防ぐには治療を受けることが推奨されます。
  • 免疫不全や免疫力の低下により、大人もうつることがあります。

水いぼの基礎知識

小学校低学年くらいまでの小児に多くみられるウィルス性の皮疹で、接触によりうつります。特に肌の露出が多い夏は、保育園や幼稚園などの集団の場で接触してうつったり、プールに入っただけでは感染しませんが、ビート板やタオルなどを共用したりすると感染しやすくなります。アトピー性皮膚炎の小児においては特に注意が必要となります。
半年から数年で自然治癒しますが、夏場は手で掻いたりして拡がりやすいため、少量のうちに治療しておくと感染を最小限に抑えられます。
また、成人の男性器においても、性感染症の一つとして感染するということがあるようです。

水いぼの症状

皮膚に、直径2~10㎜くらいのドーム状の水っぽいイボができます。表面は光沢があり、中央が少しへこみ、中に白い塊がみえます。手で掻き壊したり、脱落したいぼが他の皮膚に触って拡がり、水いぼの数が増えることがよくあります。自覚症状が無い場合が多く、軽いかゆみを伴う場合もあります。
子どもの場合は腕、脚を中心に手足の擦れやすい部分によく生じ、背中やお腹などの体全体や顔にも生じます。成人の性行為による感染の場合は外陰部や下腹部、太ももにみられます。

水いぼ

水いぼの原因

発症原因は、伝染性軟属腫ウイルスに感染することによります。感染経路は水いぼのある小児と肌が触れ合うことにより生じる接触感染が多く、毛穴や皮膚の小さな傷から伝染性軟属腫ウイルスが入り込み、皮膚の角化細胞に感染してしまいます。
感染しやすい場所として、小児の集団生活の場である幼稚園や保育園などや、プールなどがよく知られています。プールに入るだけではうつりませんが、ビート板やタオルなどを共用して間接的に感染する場合もあります。
アトピー性皮膚炎の小児は、ステロイドを塗ると水いぼが増えることや、かゆみで肌を掻き、皮膚に傷ができているため、水いぼが発生しやすくなっています。また、乾燥肌の小児も、バリア機能が弱まっているため発生しやすくなります。手で掻き壊すことにより、二次的に細菌感染を引き起こして、難治化することがあります。
成人の水いぼ(性器伝染性軟属腫)の場合は、性行為でうつることが多いと言われていますが、日本では、子どもからの感染による水いぼ(伝染性軟属腫)が多いようで、基本的に免疫力の低下などによる経皮感染であり、主に接触などのスキンシップやタオルの共用などでうつります。
水いぼの発症は、感染してから14日~50日程度の潜伏期間を経てからとなります。

水いぼの検査方法

典型的な皮疹であれば、検査の必要はなく、皮膚科専門医や小児科の医師の診察により診断されます。
掻き壊すなどし判断がしづらく、他の皮膚疾患と区別することが必要な場合は、いぼをつまんで白い内容物を確認します。病理組織検査を行うと、より信頼性の高い診断が可能です。

水いぼの治療方法

自然治癒することも多く、治癒までにかかる期間は小児の抵抗力次第で半年から数年程度といわれています。数個の場合は、治療せず経過を見ることもありますが、触って水いぼが広い範囲に多発してしまったり、他の子どもへの感染の可能性などを考慮すると、早めに治療を受けることが推奨されます。
治療は、痛み止め(局所麻酔剤)の貼り薬を治療前にイボに貼り、麻酔が効いてからピンセットでイボの中の白い芯を摘むように取り除きます。他には、塗り薬で治療することもあります。
また、成人に発生しやすいみずいぼ(性器伝染性軟属腫)の場合も、数年で自然治癒するため、経過をみるだけであったり、かゆみがある場合は、かゆみを抑える薬を使用します。但し、水いぼが大きい場合はレーザーでの蒸散や、液体窒素で凍結療法などの治療を行います。乾燥肌の人によくみられるため、白色ワセリンなどの保湿剤の塗布で治癒することもあります。

水いぼの合併症

アトピー性皮膚炎の子どもは、皮膚炎が悪化したり、湿疹を掻いて一緒に水いぼを掻き壊してしまい、全身に水いぼが広がることが多くみられます。また、「とびひ」などの二次感染を起こす可能性があります。

水いぼの自宅療法(療養方法、再発防止など)

水いぼには、触ったり、掻いたりしないようにしてください。プールに入っても、タオルやビート板、浮き輪は共用しないようにします。プールの後はしっかりとシャワーで洗い、清潔を保ちます。
治療により全て取り除いた場合も、潜伏期間の最大が50日程度であるため、数か月は新しい水いぼが無いか確認します。

水いぼの予防・対策方法

乾燥することで発症しやすくなるので、保湿剤などのスキンケアを行い、皮膚バリアを強化します。家庭や集団生活内に感染した人がいる場合は、肌と肌が直接触れ合わないように気を付け、タオルなどの共用はしないようにしましょう。
アトピー性皮膚炎の小児は、水いぼが発生したら早急に皮膚科で治療しましょう。

水いぼのリスクチェック

□ 7歳以下の小児。
□ アトピー性皮膚炎の小児。
□ 乾燥肌である。
□ 肌の露出が多い。
□ プール活動がある
□ 身近に水いぼの感染者がいる

水いぼのセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 保湿などのスキンケアをしている。
□ タオルなど共用していない。
□ 身近な感染者へのスキンシップを避けている

下記のような症状はありますか?

□ 痛みが無く、光沢がある小さないぼができている。
□ 小さないぼが、あちこちにできている。

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