夏の健康トラブル
清潔を心掛けて細菌感染を防止
擦り傷・切り傷
監修・取材協力:日本赤十字社岐阜県支部
赤十字救急法指導員
猿渡 達彦プロフィールへ

- 出血が少ない場合は、すぐに水道水などで傷口を洗い流します。
- 出血が多い場合は、ガーゼなどで傷口を抑えて止血を優先します。
- 傷口を清潔に保たないと感染症にかかる恐れがあります。
- レジャーに出かける際には包帯やガーゼなどの救急グッズを常備しておきましょう。
- 擦り傷・切り傷の基礎知識
- 擦り傷・切り傷の症状
- 擦り傷・切り傷の原因
- 擦り傷・切り傷の応急処置
- 擦り傷・切り傷の検査方法
- 擦り傷・切り傷の合併症
- 擦り傷・切り傷の自宅療法(療養方法、再発防止など)
- 擦り傷・切り傷の予防・対策方法
- 擦り傷・切り傷のリスクチェック
- 擦り傷・切り傷のセルフチェック

擦り傷・切り傷-基礎知識
擦り傷とは、転んだり、足を滑らせたりしたときに、道路や壁などに手足や顔などをこすってできる傷のことです。膝、肘、手、頬、あごなど、服から出ている部分にできやすいのが特徴です。
また、切り傷は皮膚が鋭利なもので切れたときにできる傷のことを指します。
擦り傷・切り傷の症状
擦り傷は、出血や痛みがあり、傷の範囲が広いのが特徴です。切り傷は、出血や傷周辺の内出血などを起こし、腫れることがあります。いずれの場合も、傷口を清潔に保っていないと傷口から細菌に感染し、化膿してしまうこともあります。
擦り傷・切り傷の原因
擦り傷は、外から受ける力によって皮膚の浅い層がすりむけてしまうことで生じる傷です。原因としては、転んだり、足を滑らせた際に、膝をぶつけたり、膝をこすりつけたりすることなどがあげられます。切り傷の原因となるものには、紙、食器類、陶器類、ガラス製品、缶詰の切り口や空き缶の飲み口、包丁やカッターなどの刃物などがあげられます。
擦り傷・切り傷の応急処置
・出血が少ない場合
土や砂などで汚れた傷口をそのままにしておくと、破傷風(はしょうふう)やガス壊疽(えそ)などの危険があるほか、化膿したり傷の治癒に支障をきたす場合があります。速やかに水道水などの清潔な流水で傷口の汚れを洗い流します。
傷が深い場合には感染の危険が高いので、傷口に保護ガーゼを当て、包帯をして医師機関を受診しましょう。
・出血が多い場合
傷をきれいにすることよりも止血を優先しましょう。止血の方法には、直接圧迫止血法、止血帯止血法、止血点圧迫止血法がありますが、基本となるのは直接圧迫止血法です。出血部位にガーゼ、ハンカチ、タオルなどを当て、その上から直接圧迫して止血します。救急隊が到着するまで出血部位をしっかり押さえ続けてください。

擦り傷・切り傷の検査方法
傷口に砂や砂利、石などの異物が入り込んでいないかなどを確認します。
擦り傷・切り傷の合併症
土や砂などで汚れた傷口をそのままにしておくと、感染症にかかる恐れがあります。
破傷風(はしょうふう)
破傷風菌が産生する毒素によって口唇や手足のしびれ、口が開けにくいといった神経症状を引き起こし、治療が遅れると全身痙攣(けいれん)を引き起こし、死に至る感染症です。
ガス壊疽(えそ)
ガス産生菌の感染により皮下内にガスがたまる進行性の感染症で、激痛とともに皮膚の水疱や血行障害を起こし、筋肉組織が壊死となる状態です。進行は急激で、頻脈、血圧低下、発汗、不穏、無関心などの中毒症状を呈し、ついにはショックを引き起こし死に至る感染症です。
擦り傷・切り傷の自宅療法(療養方法、再発防止など)
傷口が治った後は、保湿と紫外線対策を行いましょう。赤みがみられる間は、日光などで茶色の色がつきやすいため、日焼け止めクリームや帽子・日傘などで紫外線対策をしてください。
擦り傷・切り傷の予防・対策方法
擦り傷・切り傷は日常的に起こりやすい怪我・トラブルです。日ごろから工具を操作する際や刃物を取り扱う際には注意するようにしましょう。また、運動やレジャースポーツを楽しむ前にはウォーミングアップをし、適切な服装・装備で行うようにしましょう。万が一の場合に備えて、綿ガーゼ、消毒液、包帯などを常備しておきましょう。
擦り傷・切り傷のリスクチェック
□ 子どもまたは高齢者
□ 激しいスポーツを好む
□ 日ごろから運動不足気味である
□ 刃物や工具などを使うことが多い
擦り傷・切り傷のセルフチェック
予防・対策はしっかりできていますか?
□ 運動前にはウォーミングアップをしている□ 適した服装で運動やレジャーを行っている
□ 刃物や工具を取り扱う際には注意している
□ ガーゼや包帯などの救急グッズを常備している
出典:赤十字救急法講習教本(14版)、一般社団法人日本創傷外科学会HP
(http://www.jsswc.or.jp/general/sashikizu.html)