風邪・感染症

手・足・口に赤い発疹や水ぶくれが出ます
手足口病

監修・取材協力:日本小児科学会認定小児科
専門医・日本アレルギー学会認定専門医
医学博士 浅野 勉医師プロフィールへ

医学博士 浅野 勉

メディカルテラス編集部 a.ito

  • 乳幼児、特に集団生活をしている子どもは注意。
  • 手と足、口に赤い発疹や水ぶくれができます。
  • 7月に流行のピークを迎えます。
  • 高熱はあまり出ません。
  • 石けんでの手洗い、うがいをして予防します。

手足口病の基礎知識

主に夏に流行する感染症で、3〜6日の潜伏期の後、手足などに赤い発疹や水ぶくれ、口内炎ができます。高熱が出ることは少なく、1週間ほどで自然に治ります。かかりやすい年齢は5歳以下。毎年、5月頃から患者数が増え、7月に流行のピークを迎えます。一般的には夏風邪と呼ばれることもあります。全身状態が改善すれば、登園・登校が可能になります。

【2013年〜2018年の定点当たり報告数の平均】
手足口病
【2013年〜2018年の定点当たり報告数の平均】手足口病
※1 データの週によるばらつきや未報告のデータを修正するために統計処理をしたもの。+1SDの数値 は過去のデータの68 %、+2SDの数値は過去のデータの95 %が含まれる。
※2 過去5年間の平均:前週、当該週、後週の合計15週の平均
◎国立感染症研究所のデータを参考に弊社にて作成

手足口病の近年の動向

国立感染症研究所がまとめた患者報告によると、2019年6月は、過去10年の同期と比べて最多になりました。

手足口病の症状

手のひらや足の裏に赤い発疹水ぶくれができます。口の中にも赤い発疹や水ぶくれ(口内炎)ができます。次第に、手足全体、ひじ、ひざ、おしりに出ることもあります。高熱が出ることはあまりなく、発病しても、軽い症状だけで治ることが多くあります。また、夏風邪と言われますが、冬の風とは異なり、鼻水や咳の症状はあまりありません。

手足口病の原因

エンテロウイルス属のウイルスによる感染です。具体的にはコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)などが挙げられます。
感染経路には、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する)があります。特に、保育施設や幼稚園など、乳幼児が集団生活をしている施設では注意が必要です。ウイルスの潜伏期があるため、施設で手足口病にかかった子どもがいると、集団感染が起こりやすくなります。
原因となるウイルスに初めて感染する乳幼児がいると、感染経験がないため発病しやすくなります。

手足口病の治療方法

ウイルスに直接効く薬はありません。熱や喉の痛みなどの症状を和らげる対症療法を行い、自然治癒を待ちます。病院では、場合によって解熱剤や喉の痛みをとる薬を処方します。

手足口病の合併症

まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の症状のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな合併症が起こる場合があります。

手足口病の自宅療法(療養方法、再発防止など)

口内炎があってうまく食事ができない場合は柔らかく、味の薄い、冷たい食事にします。食欲が落ちている時はこまめに水分をとるようにしましょう。

手足口病の予防・対策方法

有効なワクチンはありません。発病を予防する薬もありません。
接触感染を予防するために、しっかり手洗いをすること、うがいをすることなどが基本の対策になります。手洗いは石けんを使い、流水で洗いましょう。
治った後も2〜4週間ほど、ウイルスが便中に排泄されることがあるため、感染を広げないために、排泄物を適切に処理することが必要です。おむつ交換をする時は特に気をつけ、しっかり手を洗います。
タオルの共用もしません。家庭では兄弟への感染に気をつけること、乳幼児の保育施設などの集団生活では、職員と子どもがしっかり対策をすることが大切です。

手足口病のリスクチェック

□ 5歳以下の乳幼児
□ 乳幼児の保育施設などで、普段から集団生活をしている
□ 手洗いやうがいはあまりしない
□ 周囲で手足口病やヘルパンギーナにかかった子ども、人がいる

手足口病のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 手洗いうがいをしっかり行う
□ 子どもの排便、おむつ替えなどの処理を適正に行っている
□ タオルは共用していない

下記のような症状はありますか?

□ 手のひらや足の裏に赤い湿疹、または水ぶくれができている
□ 口内炎がある
□ 全身がだるい

関連TOPICS