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胃腸からのSOSを軽視しないで!
夏バテと胃腸の病気

監修・取材協力:日本消化器内視鏡学会認定専門医・日本消化器病学会認定専門医
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蟹江 治郎

Medical.T 編集部 M.Ito

夏場のエアコン、冷やし過ぎていませんか?暑いからと言って冷たい水を飲み過ぎていませんか?夏は食中毒など細菌性の病気も発生しやすく、胃腸にとって過酷な季節。下痢や便秘もよくあることだからと軽視せず、何が原因なのか見極めケアすることが大切です。

夏バテと胃腸の病気-基礎知識

夏に気を付けたい胃腸の病気として、夏バテに伴う胃腸障害、細菌性腸炎(食中毒)、過敏性腸症候群があげられます。胃腸からのSOSは、腹痛や下痢、便秘、嘔吐、発熱、食欲不振などさまざまな症状で現れます。この時期の下痢や嘔吐は、脱水症の原因にもなるため要注意。不調を軽視せず、すぐに医師に相談しましょう。

夏バテと胃腸の病気-近年の動向

記録的な猛暑が続く近年、夏バテに伴う胃腸障害を訴える人が増えています。

夏バテと胃腸の病気-注意した方がよい人

□日中、外にいることが多い人
□生活が不規則な人
□ストレスを感じることが多い人
□下痢や便秘の症状がある人
□子ども
□高齢者

夏バテと胃腸の病気-出やすい症状

夏バテによる胃腸障害は、全身のだるさと疲労感、食欲不振、睡眠不足など。細菌性腸炎(食中毒)は、主に腹痛、下痢、嘔吐、発熱。過敏性腸症候群は、長引く下痢、便秘、またはその両方が交互に起こります。

夏バテと胃腸の病気-考えられる病気

自律神経の乱れが招く
夏バテに伴う胃腸障害

夏バテとは夏特有の高温多湿の気候が引き金となって発生する体調不良のこと。全身のだるさ、疲労感、食欲不振、睡眠不足などにより自律神経のバランスが乱れると、胃腸の働きも低下してしまいます。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

生肉に気を付けて!
細菌性腸炎(食中毒)

病原性大腸菌、カンピロバクター菌、サルモネラ菌などの細菌に感染することによって起きる細菌性腸炎。集団感染すると食中毒と呼ばれています。

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下痢・便秘が続く
過敏性腸症候群かびんせいちょうしょうこうぐん

大腸や小腸に異常が見つからないのに、下痢や便秘が長期間続く病気。便は大腸で作られ、貯められ、排せつされます。大腸は“貯める”と“出す”の二つの相反した仕事を、一つの臓器でまかなっています。また、腸は自律神経と密接な関係がありお互い影響し合っているため、ストレスなどによってそのバランスが崩れると下痢や便秘などのお通じの異常が起きてしまうのです。

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夏バテと胃腸の病気-治療方法

下痢や嘔吐、発熱などによる脱水状態を未然に防ぐため、嘔吐を助長させない程度の少量ずつ水分を摂るようにします。ただ、どうしても水分が摂れない場合は、点滴による治療が必要になる場合もあります。下痢は腸の中に入った菌を体外に排出するための生体防御反応でもあり、感染性腸炎(食中毒)の場合においては下痢止めは出来るだけ避ける方が良いとされています。
家庭では、下痢の場合は冷たい飲み物を控え、便秘の場合は水分を積極的に摂取するとともに、繊維が豊富な食品を摂るなど胃腸をいたわる食生活を心がけてください。

夏バテと胃腸の病気今すぐはじめる 予防と対策

  • 着衣

    クールビズのような熱のこもりにくい服装が理想。炎天下を歩くときは、男性でも日傘の積極利用を。

  • 生活

    規則正しい生活は重要。食事は、朝の涼しいうちに必ず朝食をとって、栄養面と規則的な生活を作る。

  • 水分補給

    水のみで脱水予防をすると、身体の電解質のバランスが崩れ、食欲低下を助長します。発汗しているときの水分補給は水分と塩分の補給を、逆に発汗していないときの水分補給は塩分の摂りすぎに注意を。

  • 食事

    味噌汁や冷や奴でタンパク質を摂って、各種野菜でビタミンやミネラルを補うといいでしょう。夏野菜の「キュウリ」「ナス」「枝豆」「トマト」などは体温を下げる作用があるといわれます。また、古来よりウナギも良いとされます。

  • 空調管理

    冷房は冷やしすぎも、使わないことも夏バテには良くないと言われます。28度設定を目安に適度な温度で管理をするだけではなく、扇風機なども併用すると体感温度も下がり有効です。

  • 運動

    「人と話ができて軽く汗ばむくらい」の有酸素運動が理想。適度に運動して汗をかくと毛穴の体温調節機能の回復を促し、睡眠不足の予防にもなります。

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