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カラダの不調の原因に潜む
目の病気

監修・取材協力:柳津あおやま眼科クリニック 院長
眼科専門医
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青山 勝

Medical.T 編集部 M.Hioki

五感のうち視覚からの情報は80%以上とされ、目から圧倒的な情報量を得ています。
そんな情報器官である大切な目は、加齢と共に衰え、病気も増えてきます。
さらに、ITが一般化された現代は子どもたちを取り巻く環境も変わり、小学生の裸眼視力低下者は増え続けています。
目の不調を感じたら早めに眼科へかかり、目の定期健診を受けるようにしましょう。

目の病気-基礎知識

目の機能は生まれてから徐々に発達し、8~10歳頃までに完成して、加齢とともに変化し衰えていきます。成長期には身長が伸びると眼球も発育するため、眼軸長が伸びて近視になったり、老化によって老眼や白内障などの避けられない目の病気が増えてきます。その時期に合わせた目のケアや、目の健康を保つための環境づくりはとても大切です。
しかし、高度情報化社会の進展に伴い、目を酷使することが増えている現代、ドライアイや眼精疲労など、目にさまざまな影響を与え、目の病気も増加しています。単なる疲れ目だと放置すると、首や肩のコリ、頭痛や吐き気など、全身の不調へと繋がってしまいます。
日本でスマホが普及した2011年以降、使用時間は年々増加傾向となり、スマホやタブレットを四六時中見て過ごしている人が増えています。それに伴い若くして老眼のような症状を引き起こす人も増え、新たな現代病「スマホ老眼」が増加しています。手元のスマホを見続けることで、水晶体の厚みを変化させて、ピントを調節する毛様体筋が凝り固まってしまい、ピント調節がうまくできなくなります。そして、さらには、スマホの見過ぎが原因で目が内に寄ってしまって外に開けなくなり、ものが二重に見えてしまう「急性内斜視」が若者を中心に増えています。健康な目を保つためにも、長時間の使用はやめ、就寝2時間前にはスマホ断ちをしましょう。また、使用する際には、こまめに目を休ませ、意識的にまばたきを増やしたり、目のストレッチなどを行い、目への負担を軽減するようにしましょう。

眼球断面図と組織の役割

目の病気-近年の動向

スマホの普及以降、子どもの視力低下がどんどん進み、近視が深刻な社会問題になっています。昨年度の学校保健統計によると、裸眼視力が1.0 未満の者が、小学校と高等学校で過去最高となりました。中学校でも、過去最高であった前年度とほぼ同程度であり、子どもたちの視力が低下し、近視が増加の一途をたどっています。

眼球断面図と組織の役割
平成30年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)参照に弊社にて作成

目の病気-出やすい症状

目の疲れ、眼の充血、目の痙攣、ピントが合わせづらい、遠くがぼやける、手元がぼやける、目が乾燥する、目が痛い、目がゴロゴロする、肩や首のこり、頭痛、体調不良

目の病気-注意した方がよい人

・40歳以上の人
・成長期の子ども(屈折異常)
・スマホに依存している人
・乾燥した部屋にいる人
・液晶画面を長時間見る仕事の人
・手元作業が多い仕事の人
・ステロイドを長期間服用している人

身近な目の病気

進化する視力矯正法に注目!
屈折異常

屈折異常とは、目のピントのずれによって物が見えにくくなった状態のことで、近視、乱視、遠視の3種類に分けられます。生活支障がある場合は眼鏡やコンタクトレンズで矯正し、レーシック手術では裸眼視力を回復することもできます。そして近年、最も新しい近視の治療法として「オルソケラトロジー」という、手術のいらない視力矯正治療が注目されています。就寝中に視力矯正をするだけで、日中は裸眼生活ができ、近視進行抑制効果もあります。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

目の渇きを感じたら!
ドライアイ

ドライアイとは、何らかの原因で目を保護する涙の量が不足したり、涙の質に異常が起こり、目の表面が乾いてしまうことです。目の表面が乾くと、目が傷つきやすくなり、充血や痛み、異物感、光が眩しい、目やにが出るなど、さまざまな症状を引き起こします。症状が悪化すると角膜や結膜にも障害が起こってきます。

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始まっていませんか?
老視(老眼)

個人差はありますが、40歳前後から始まる目の老化現象で、近くや薄暗い場所が見えにくいなどの症状が起こります。老化と共に誰もが起こる症状ですが、放置していると、目を疲れさせ、肩こりや頭痛などの体調不良につながったり、老眼の進行を早めることもあります。

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スマホ依存症は注意!
スマホ老眼

年齢に関係なく、長時間によるスマホやタブレットなどの使用によって、老眼のような症状が起こります。スマホ老眼を放置することで、新たな病気に繋がることがあるため、早めに治療を行い、スマホの長時間使用は止めましょう。

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かすみ目?視界がぼやける
白内障

老化現象により、80歳代以降には100%発症する病気です。目のレンズが加齢と共に白く濁ることで視界全体がぼやけて見えづらくなります。手術以外には治療する方法は無く、近年は最先端のレーザー白内障手術装置と多集点眼内レンズによって、手術後には裸眼生活が可能になりました。

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目の病気-検査・治療方法

一般的な診察前の検査としては、視力検査、眼圧検査、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査、眼底検査などがあります。病状に合わせて、追加で必要な検査を行います。
治療方法は各病気や年齢、症状の状態によりさまざまで、初期においては、症状に合わせた点眼薬や服用薬などで、治療や進行を遅らせるようにし、なるべく目を休めるように促します。進行状況や重症の場合は、手術による治療も行います。

目の病気今すぐはじめる 予防と対策

1. 遠くを見る習慣をつける。
2. 目を使う際は、1時間に1回は目のストレッチをして休ませる。
3. バランスの良い食事をする。
4. ストレスをためない。
5. 夜更かしは避け、十分な睡眠をとる。
6. タバコを吸わない。
7. 毎日、軽い運動をする
8. 必要以上に目薬をささない

【口腔ケアの基本「歯磨き」のポイント】

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