鼻の病気

自律神経の乱れから発症する!?
血管運動性鼻炎

監修・取材協力:耳鼻咽喉科・アレルギー科
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中山 里香

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 急な気温の変化が引き金となって発症する。
  • 寒暖差アレルギーとも呼ばれている。
  • 花粉症や風邪の初期症状に似ているが、目のかゆみや熱は出ない。
  • アレルギー検査で陰性の場合に血管運動性鼻炎と診断される。
  • 環境になれると症状が治まる。
  • ハッキリとした原因は不明だが、自律神経の乱れによるものとされている。
  • 子どもには少なく、特に中年以降の女性に多い病気。
  • 自律神経の調子を整えることが大切。

血管運動性鼻炎の基礎知識

血管運動性鼻炎は、周囲の環境の変化などにより、鼻粘膜の局所自律神経の乱れにより起こると考えられています。季節の変わり目や、暖かい場所から寒い場所へ移動したときなど、急な気温の変化が引き金となって発症することが多いため「寒暖差アレルギー」とも呼ばれています。主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりで、アレルギー性鼻炎や風邪の初期症状と似ていますが、目のかゆみや熱が出ることはありません。また、咳などの随伴症状があるのも特徴です。
病院では、アレルギー検査をしてもアレルゲンが見つからず、鼻汁や血液にもアレルギー反応が出なかった場合は、血管運動性鼻炎と診断されることが多いようです。
気温の変化の他に、精神的ストレスやたばこの煙など、様々な要因で発症することがわかっています。
また、血管運動性鼻炎は国内においての名称で、国際的分類では原因不明という意味での本態性鼻炎がよく使われるようです。

【2013年〜2018年の定点当たり報告数の平均】血管運動性鼻炎
※(旧版)鼻アレルギー診療ガイドライン(2005年刊改訂第5版)を参考に弊社にて作成。

血管運動性鼻炎の症状

急な温度差や鼻に刺激物を感じたときに、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりといったアレルギー性鼻炎に似たような症状が出ます。ただし、花粉症のような目や喉のかゆみは無く、熱も出ませんが、咳やじんましん、頭痛などの随伴症状や食欲不振などになる場合があります。
症状は、気温や環境に慣れてくると治まります。

血管運動性鼻炎の検査方法

アレルギー性鼻炎と同じ検査になります。鼻の診察と問診で診断し、アレルギーの検査(鼻汁検査、採血、皮膚反応テストなど)を行い、好酸球やアレルギー反応が見られない場合は、血管運動性鼻炎と診断されます。

血管運動性鼻炎の原因

まだ、ハッキリとした原因は分かっていません。有力説としては、温度差や何かしらの鼻への刺激物が原因となり、鼻粘膜の局所自律神経が過敏になることで発症すると考えられています。
一般的に自律神経が対応できる温度差は7~8度とされているため、それ以上の温度差があると発症しやすくなります。また、タバコの煙や香料などの化学物質、精神的ストレスなども影響すると言われています。他にも自律神経が乱れる原因としては、不規則な生活リズムや寝不足、食生活の乱れ、飲酒など、さまざまあります。自律神経は体温調節の役割も担っているので、自律神経が乱れやすい人は、血管運動性鼻炎になりやすい傾向があるようです。
また、子どもには少なく、特に中年以降の女性に多いことも分かっています。筋肉量が少ない女性は、体内で熱を作り出す力が弱いため、体温調節がしづらく、血管運動性鼻炎になりやすいのではないかとされています。

血管運動性鼻炎の治療方法

基本的には、発症原因となる状況を避けることですが、症状は、その環境などに慣れてくると自然に治まります。
治療には、鼻づまりを解消するために、点鼻ステロイド薬が有効とされています。内服薬には、アレルギー性鼻炎に準じた抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が有効とされます。薬物療法が無効で、症状の強い症例は手術を考慮します。

血管運動性鼻炎の自宅療法(療養方法、再発防止など)

温度変化に合わせて衣服を調整したり、タバコや香料などの刺激物を避けるなどし、自律神経が乱れる原因を取り除きます。そして、自律神経の調子を整え、血管運動性鼻炎を発症しにくくするために、適度な運動や食生活の見直し、ストレスの発散などを行い、日常生活を改善して、規則正しい生活を心掛けます。

血管運動性鼻炎の予防・対策方法

温度差が起きやすい環境下では、マスクで鼻や喉を保護して空気が直接当たらないようにしたり、温度変化に合わせて上着を脱ぎ着するようにします。
自律神経の調子を整えることが大切なので、過度のストレスや体調不良をそのままにしないようにしましょう。

血管運動性鼻炎のリスクチェック

□ 温度差(寒暖差)が7度以上になる環境下にいる
□ 運動不足である
□ 過度のストレスを感じている
□ 睡眠不足である
□ 食生活が乱れている
□ 生活習慣が乱れている
□ 中年以上の女性である
※チェックが多い人は要注意!

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