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口はカラダの健康バロメーター
歯と口のトラブル

監修・取材協力:医療法人 タナカ歯科 院長
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田中 孝宜

Medical.T 編集部 M.Ito

寝不足や疲れ、食生活の乱れで、歯ぐきが腫れたり、歯が浮いたように感じたり…。口まわりは、何かとトラブルが起きやすいもの。適切な口腔ケアと生活習慣を見直して病気やトラブルの予防に努めましょう。

歯と口のトラブル-基礎知識

健康的な食生活を維持するためには、80歳になっても歯を20本以上保つ「8020(ハチマルニイマル)運動」が推奨されています。歯を失う二大原因は「歯周病」と「むし歯」。中でも第1位の歯周病患者は多く、成人の約8割と言われています。
近年増えている歯周病、顎関節症、知覚過敏、舌痛症、ドライマウスなどは口腔内だけのトラブルと思われがちですが、生活習慣に関係して発症する場合があります。また、口はカラダの健康バロメーターと言われるように、糖尿病や動脈硬化など重大な疾患が口の中のトラブルをきっかけに見つかる場合があります。歯・口の健康づくりは、全身の生活習慣病を予防することにもつながるのです。
歯科医は、口腔内の変化を見ることができるプロ。むし歯や歯周病予防、さらには生活習慣病予防のためにも、定期的に受診し、適切な口腔ケアを受けるようにしましょう。

歯と口のトラブル-出やすい症状

病気の種類により症状は異なりますが、歯周病は歯磨き時の出血、知覚過敏は冷たいものを飲食したり、歯ブラシの毛先が当たっただけでしみる、痛むなどの症状が現れます。顎関節症や舌痛症のように顎や舌という特定の場所に痛みや違和感が出る病気もあります。ドライマウスは口の中が渇く、喉が渇きやすいなどが主な症状。口腔がんはしこりや腫れを肉眼でチェックできるので早期発見が大切とされています。

歯と口のトラブル-注意した方がよい人

□ 十分に歯磨きができていない
□ 不規則な生活を送っている
□ 食生活が乱れている
□ 高齢者
□ パソコンやスマホを頻繁に使用する
□ ストレスを抱えやすい
□ 糖尿病の疑いがある

近年増えている歯と口のトラブル

歯の生活習慣病
歯周病

歯と歯肉(歯ぐき)の間の溝「歯周ポケット」に溜まった歯垢によって細菌が繁殖し、歯の周りに炎症が起きる病気。この状態を放置すると、やがては歯を支えている顎の骨を溶かし、歯を失ってしまう。

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口を開けるとカクンと音がする
顎関節症

顎を動かすとカクカク音がする、痛みを感じて開かない、顎に違和感があるなど顎関節やその周辺に異常を感じる病気。かつては噛み合わせの悪さが最大の原因とされてきたが、近年はストレスや生活習慣、姿勢の悪さなどにも原因があると考えられている。

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むし歯はないのに歯がしみる
知覚過敏

歯周病や強いブラッシング、体調不良などで歯ぐきが退縮したり、歯の表面を覆うエナメル質が喪失することが原因。象牙質が露出し、この奥にある神経へ刺激が伝わるため、冷たいものを飲食したり、歯ブラシの毛先があたっただけで、しみる、痛むなどの症状が現れる。

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腫れや炎症がないのに舌がピリピリする
舌痛症

外見上異常がなく、血液や細菌検査でも問題がないのに、舌にピリピリとした痛みや熱さを慢性的に感じる病気。原因は解明されていないが、40~50代の更年期世代の女性に多く発症する傾向にあり、ストレスや不安などがその一因と考えられている。

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唾液の分泌量が低下する
ドライマウス(口腔乾燥症)

口の中が渇く、ねばねばする、喉が渇きやすいなどの症状が見られる。原因は、唾液分泌量の低下、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、薬の副作用、喫煙などが考えられている。放っておくと、口臭、虫歯、口腔感染症などのリスクが高まる。全身疾患のサインの場合もあるため、早めに検査を。

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セルフチェックで早期発見を
口腔がん

主に舌、口底(舌の下側)、歯ぐき、唇にできるがん。代表的な原因は喫煙と飲酒で、他にも歯列不正、不適合義歯、不潔な口腔状態などが考えられている。直接肉眼で観察でき、手指で触診できるのが大きな特徴。早期発見と早期治療がとても重要。

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歯と口のトラブル今すぐはじめる 予防と対策

歯磨きの目的は歯垢(プラーク)を除去すること。かかりつけの歯科医師に相談しながら、適切な口腔ケアに努めましょう

①角度45度、小刻みに動かす
歯と歯肉の境目に45度の角度で当て、軽い力で細かく前後に動かして磨きましょう。磨く順番を決めて、毛先が歯周ポケットに入るように意識すると良いでしょう。
【口腔ケアの基本「歯磨き」のポイント】
②まずは歯磨き粉を使わずに
歯磨き粉の爽快感によって“しっかり磨けた”という気になり、満足に歯を磨けていないのに終えてしまいます。まずは歯磨き粉を使わずに磨き、最後に歯磨き粉を使うようにしましょう。多くの歯磨き粉に含まれるフッ素は虫歯予防に繋がります。
③歯ブラシ選びも重要
自分の歯の大きさや歯並びに合った大きさ・硬さ・形を選びましょう。歯肉に異常が見られなければ「ふつう」がおすすめ。「かたい」によって歯肉を傷つけてしまう場合もあります。交換は1カ月に1本が目安。電動ブラシやデンタルフロスも効果的です。適切な歯ブラシ選びに迷ったら、歯科医に相談しましょう。

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