夏の皮膚の病気

日本では5人に1人が感染者!?
水虫(真菌症)

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 人や動物の角質を好む白癬菌が寄生して発症します。
  • 水虫は足だけでなく、手や爪、顔や体、頭など、いろんな部分に発症します。
  • 足や手は小さな水疱ができ皮がむけることが多い。
  • 小児は頭や顔に水虫が好発し、自覚症状はあまりない。
  • 水中内では感染せず、直接付着したものに触れることで感染します。
  • 水虫が付着しても、12時間以内に洗い流せば感染を防ぐことができる。

水虫の基礎知識

水虫は、人や動物の角質を好む“白癬菌”という糸のようなカビ(真菌(しんきん))の一種で、足への寄生が多いことで知られています。専門的には白癬と呼ばれ、寄生した部位により病名や俗称がついています。足に寄生する「水虫/足白癬」が最もポピュラーであり、10歳くらいまでの小児に好発する「しらくも/頭部白癬」、顔や体部は「たむし/体部白癬」、成人男性に好発する「いんきんたむし/股部白癬」、爪に寄生する「爪白癬」などがあります。

水虫の近年の動向

爪白癬の治療方法で、以前は内服薬のみの使用でしたが、近年、爪白癬用の外用薬が登場し、塗り薬も処方してもらえるようになりました。

水虫の症状

感染初期は、症状がほとんどなく、感染が進むと各部位の症状が現れます。
足白癬は、小水疱ができて足の指の間の皮や足の裏の皮膚の角質がむけることが多く、皮膚がジュクジュクと湿った状態や、ごわごわと厚くなったりカサカサした感じになったりもします。かゆみを強く感じたり、かゆみが無い場合もありさまざまです。手白癬はほとんどが小水疱から皮がむける症状です。
爪白癬は、足白癬から続発性に起きやすく、爪の先端から白濁し、しだいに爪の厚みが増して、ぼろぼろと崩れ出すこともあります。手の爪に生じることもあります。
頭部白癬は、10歳以下の小児に多くみられ、感染した部位から毛が抜け、皮膚が乾燥してフケが発生します。通常は自覚症状が無く、進行すると、皮膚に赤みや赤い皮疹が現れ、痛みを伴うようになります。
体部白癬股部白癬は、赤い小さな皮疹から初発し、カサついた皮膚の炎症が遠心状に拡大します。主にかゆみを伴い、赤みを伴うこともあります。体部白癬は小児の顔に好発します。

水虫の原因

人や動物の角質を好む“白癬菌”が皮膚表面に付着し、角質や爪、毛髪などの成分であるケラチンをえさにして寄生し、増殖して起こります。白癬菌の感染は、水虫感染者や動物の皮膚、プールや風呂場などで白癬菌が付着したものに直接触れることによるもので、付着した白癬菌をそのままにしておくことが原因となります。

水虫の検査方法

皮膚の表面の角質がはがれ落ちた部分や爪、毛などを採取し、水酸化カリウムという液体で溶かして顕顕微鏡で観察します。この顕微鏡検査で白癬菌が確認できると、水虫と診断されます。また、この検査で、似た症状を起こす「カンジダ」、「癜風(でんぷう)」と区別ができます。さらに詳しい種類を特定する場合には、真菌の培養検査や遺伝子検査を行うこともあります。

水虫の治療方法

皮膚科でカビの増殖を抑える、白癬菌に有効な抗真菌薬を処方してもらい、治療します。症状や部位によって、塗り薬と内服薬を使い分けます。
症状が無くなっても角質の中で白癬菌は生きている可能性が高いので、数か月は治療を続けて様子をみましょう。

水虫の自宅療法(療養方法、再発防止など)

帰宅したら、患部をこまめに洗い、素足で過ごします。バスタオルやバスマット、スリッパなどから感染するので自分自身も気を付けて使用しましょう。

水虫の予防・対策方法

白癬菌が付着しても寄生するまでには24時間程度かかるため、帰宅したら足をしっかり洗います。また、皮膚に傷などがあると寄生時間が12時間程度と早まるため、プールや大衆浴場などで、感染が気になる場合は早めに洗うようにします。最近は角質ケアなどを行うことにより、かかとなどを傷つけ、女性も水虫になるケースが増えています。夏場に一日中、靴を履き続けることで、足が蒸れ高温多湿の環境を作り、靴の中で白癬菌が繁殖しやすくなります。時々靴を脱ぐ、中敷きを取り換えるなどをし、毎日同じ靴を履かないなど工夫をして、靴を使用しましょう。また、使用した靴には除菌スプレーをかけたり、乾燥剤を入れたりするとさらに予防できます。

水虫のリスクチェック

□ 毎日、長時間同じ靴を履いている。
□ 家族に水虫の人がいる。
□ プールや大衆浴場によく行く。
□ 毎日、お風呂に入らない。
□ タオルやバスマットを共用している

水虫のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 帰ったら、まず足を洗う。
□ 家の中では裸足で過ごしている。
□ タオルなど共用していない。
□ 靴の中を清潔にしている。

下記のような症状はありますか?

□ 足や手に小さな水疱ができている。
□ 体や顔に赤い小さな皮疹がある。
□ 遠心状のかさついた皮膚の炎症がある。

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