夏の健康トラブル

火を扱う場合は特に注意を!
火傷

監修・取材協力:日本赤十字社岐阜県支部
赤十字救急法指導員
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赤十字救急法指導員 猿渡 達彦

Medical.T 編集部 M.Imase

  • 日常生活の中のものが原因となり、家庭内でも起こりやすい怪我です。
  • 火傷を負ったら、まずは冷たい水でしっかりと冷やします。
  • 傷口を清潔に保たないと感染症にかかる恐れがあります。
  • 火傷の程度が2度以上の場合は早めに医療機関を受診しましょう。

火傷-基礎知識

火や熱湯など熱いものに触れて生じる皮膚などの損傷のことで、熱傷とも言います。家庭内での火傷の原因として、汁物や麺類などの熱くなった食品をはじめ、ストーブや炊飯器、電気ポット、電気アイロンなどがあります。また、花火やバーベキューなど火を扱うレジャー時にも起こりやすい怪我と言えます。
範囲や深さに応じた治療が必要ですが、受傷直後の応急処置がとても重要です。まずは冷たい水や水道水でしっかりと冷やし、中度以上の火傷の場合は早めに医療機関を受診しましょう。

火傷の症状

火傷の程度はその広さ、深さ、場所によって異なります。また、程度によって現れる症状も異なります。

【広さ】
火傷のけがの広さは、皮膚が変色したり、水疱が生じている部分を確認します。傷病者の指も含んだ手の平一枚分が、その傷病者のおよそ1%の対表面積になります。手の平何枚分が火傷を負っているかによって、その広さを確認できます。体の表面積の20~30%に渡る広い範囲の場合は重症です。

【深さ】
火傷のけがの深さは、見た目や痛みなどの症状である程度分かります。

火傷の程度と症状の出方
◎赤十字救急法講習教本(14版)をもとに弊社にて制作

そのほか火炎や気体を吸い込むことで、喉や器官などの空気の通り道に火傷が起きる気道熱傷もあり、喉の痛みや違和感、声の変化、呼吸が苦しいなどの症状が表れます。

火傷の原因

火傷は日常生活で最も多い怪我の一つです。原因としては、普段の料理でよく使う熱湯や油が多く、子どもの場合は炊飯器からの水蒸気やアイロンなどによるものもあります。また、ホットカーペットや湯たんぽに長時間あたっていたことによる低温火傷もあります。直接火を扱うバーベキューや花火などのレジャー時にも起こりやすくなります。

火傷の応急処置

1度、2度の熱傷で範囲が狭いときには、冷たい水や水道水で痛みが取れるまで冷やします。水疱(水ぶくれ)がある場合は、水疱をつぶさないように、蛇口から勢いよく出ている水に直接患部を当てないようにし、患部を消毒した布などで覆い、その上から冷やして医療機関へ向かいましょう。
患部が衣類で覆われている場合は無理に脱がさず、そのままの状態で急いで冷やします。
2度、3度の場合は冷たい水、水道水で冷やし、その後濡れたタオルなどで冷やします。熱傷の範囲が広い場合、全体を冷やし続けると体温を低下させることになるため、広範囲を冷やす場合は10分以内にしましょう。得に高齢者や子どもの場合は低体温に注意が必要です。

医師の診察の妨げになるため以下のことに注意します
・軟膏、油、消毒液は塗らない
・水疱(水ぶくれ)はつぶさない
・火傷部位の衣類を脱がさない

火傷の検査方法

深さ、広さ、部位を見て診断します。気道の火傷が疑われる場合は気管支鏡検査が必要となります。

火傷の合併症

広範囲に及ぶ深い熱傷は、ショックや重度の感染症などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。

火傷の自宅療法(療養方法、再発防止など)

医療機関で処方された軟膏などを用法・用量を守って使用し、安静にしましょう。

火傷の予防・対策方法

日常の生活の場で、火傷が起こらないようにすることが大切です。特に、子どもがいる家庭では、子どもの手の届く範囲に熱いものを置かないようにしてください。乳幼児がいる場合は、一人でキッチンに入れないようベビーゲートなどで対策しましょう。火を扱う場合は軍手をするなど、直接熱が肌に当たらないにする工夫も大切です。

火傷のリスクチェック

□ 5歳以下の乳幼児または高齢者
□ 直接火を扱うことがある

火傷のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ ポットやアイロンなど火傷の原因になるものを子どもの手の届くところに置いていない
□  熱湯やスープを運ぶときは、床の段差などに注意している
□ カップラーメンなどに熱湯を注ぐときは安全な場所で行っている
□ 浴槽の湯温の確認を子どもにさせない
□ ストーブや焚火の周りで子どもを遊ばせない

出典:赤十字救急法講習教本(14版)

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