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日本人の2人に1人が発症する現代病の一つ
アレルギーの病気

監修・取材協力:みずの内科クリニック院長
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岐名古屋甲状腺診療所 水野秀和

Medical.T 編集部 M.Imase

花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギーの病気に悩んでいる日本人は多く、今や日本人の2人に1人がアレルギー疾患を発症しているというデータもあります。
アレルギーが起こるメカニズムや、どんな症状が出るのかなど、アレルギーの病気について詳しく知っておきましょう。

アレルギーの病気-基礎知識

外部から体内に侵入したウイルスや細菌などの異物(抗原)に対して、それらを撃退しようとする機能を免疫と呼びます。普通は一度体に抗原が侵入すると、免疫反応が働いて抗体が作られ、もしまた同じ抗原が入ってきても排除できるようになります。しかし、抗原に対し、何らかの免疫機能が過剰に作用することがあります。これがアレルギー反応です。
アレルギー反応を起こさせるものには、抗原提示細胞、リンパ球、好酸球、マスト細胞などの細胞と、IgE抗体、ヒスタミン、ロイコトリエンなどのたんぱく質や化学物質があります。抗原やアレルゲンが体に侵入すると、抗原提示細胞がそれらを異物として認識し、リンパ球へと情報が伝達されます。侵入したアレルゲンに対し、形質細胞がIgE抗体を産出します。IgE抗体が皮膚や粘膜内で待機しているところに、再びアレルゲンが侵入することでアレルギー反応が起こるのです。
アレルギーの病気の種類は多く、原因となる抗原によって症状の出方も様々です。アレルギーを引き起こす抗原、アレルゲンの代表的なものには、花粉やダニ、ホコリなどのハウスダスト、カビなどがあり、症状としては喘息、じんましん、皮膚炎、鼻炎、発熱、嘔吐などが一般的です。アレルギー疾患は体質改善が必要であることから、完治が難しい病気です。ただし、コントロールできる病気でもあります。アレルギーかなと思ったら早めに医師に相談し、快適な生活が送れるような治療、生活スタイルを取り入れることが大切です。

アレルギーの病気-近年の動向

グラフ【アレルギー疾患 推計患者数の年次推移】を見ると、アレルギー疾患の中でも特にぜん息の患者数が多く、平成20年から徐々に増加傾向にあることが分かります。アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎も平成14年頃を境に増えています。
グラフ【アレルギー疾患の年齢別患者構成割合の比較(平成26年)】を見ると、アレルギーの病気は全体としては若年層に多いと言えます。ですが、ぜん息やアレルギー性鼻炎は45歳~69歳の患者数も割合も多くなっており、逆に、結膜炎は高齢になるほど発症しやすいと言えます。

アレルギーの病気
※〈推計患者数〉とは患者調査において、調査日現在、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設を受療していない者も含む)の数を算式により推計したもの。
※〈アレルギー性鼻炎〉は花粉によるものも含む
※〈結膜炎〉は非アレルギー性の結膜炎患者を含む例)

◎厚生労働省 患者調査(総患者数、性・年齢階級×傷病小分類別)データをもとに弊社にて作成

アレルギーの病気
※〈推計患者数〉とは患者調査において、調査日現在、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設を受療していない者も含む)の数を算式により推計したもの。
※〈アレルギー性鼻炎〉は花粉によるものも含む
※〈結膜炎〉は非アレルギー性の結膜炎患者を含む例)

◎厚生労働省 患者調査(総患者数、性・年齢階級×傷病小分類別)データをもとに弊社にて作成

アレルギーの病気-注意した方がよい人

アレルギー体質の人、身内にアレルギー体質の人がいる人、タバコを吸う人などは注意が必要です。

アレルギーの病気-出やすい症状

アレルギーの症状としてはぜん息、じんましん、皮膚炎、鼻炎、発熱、嘔吐などが一般的です。

アレルギーの病気-病名と症状

繰り返す咳に注意。大人のぜん息も増加傾向に!
気管支喘息(成人)

気道にできた炎症によって、気道が狭くなり、そのために繰り返しの咳や、ゼーゼーヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)など、呼吸困難が生じる病気です。治療をせずに放置すると、気道内が変形し、さらに悪化する恐れがあります。吸入療法などで症状をコントロールできる場合も多いので、早めに医師に相談しましょう。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

花粉症の代表的な症状
アレルギー性鼻炎

花粉やダニ、ホコリなどが主なアレルゲンで、特に3月~4月にかけて患者が増える病気です。症状としては、透明や白色をした水性の鼻汁がダラダラと出る、くしゃみや鼻詰まりを繰り返します。飲み薬や点鼻薬でアレルギー反応を抑える治療を行うのが一般的ですが、抗原を少量ずつ体内に取り入れる免疫療法を行う場合もあります。

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子どもに多い肌の病気
アトピー性皮膚炎

かゆい湿疹が皮膚に繰り返し起こる病気。肌のバリア機能が不十分な人に発症する皮膚の病気で、とにかくスキンケアをしっかり行うことが大切です。紫外線を浴びすぎない、汗をかいたらこまめにシャワーを浴びるなどして、肌への刺激を最小限に抑えましょう。幼児に多い病気ですが、約80%は5歳までに自然軽快すると言われています。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

食後すぐに症状が出ることがほとんど食物アレルギー

患者によってアレルゲンとなる食物が異なるため、血液検査やパッチテストなどで検査を行います。アレルギーの場合は食後すぐに、じんましんや腹痛、嘔吐、咳などの症状が表れます。食物アレルギーは症状の出方や重症度に個人差があります。適切なアレルゲン診断を受け、医学的根拠に基づいた治療を行うことが大切です。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

アレルギーの病気-治療法

原因となるアレルギーを特定し、それを回避、除去する方法が基本です。それ以外にも少量の抗原を徐々に体内へ摂取していくことで免疫機能の過敏性を減少させていく免疫療法や薬物療法などもあります。

アレルギーの病気今すぐはじめる 予防と対策

□排気ガスや産業廃棄など環境化学物質をなるべく吸わないようにしましょう
□添加物や農薬が多く含まれた食品は極力避けましょう
□動物性脂質や動物性タンパク質を過剰摂取せず、バランスのよい食事を心掛けましょう
□ハウスダストやカビ、ペットの毛などアレルゲンとなる物質を極力生活空間から減らしましょう

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