風邪・感染症
突然の高熱と喉の痛みに注意
ヘルパンギーナ
監修・取材協力:日本小児科学会認定小児科
専門医・日本アレルギー学会認定専門医
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- 乳幼児、特に集団生活をしている子どもは注意。
- 突然、39度前後の発熱と喉の痛みがあります。
- 乳児はよだれが出たり、機嫌が悪くなったりします。
- 口内炎で食欲不振になります。
- 7月に流行のピークを迎えます。
- ヘルパンギーナの基礎知識
- ヘルパンギーナの症状
- ヘルパンギーナの原因
- ヘルパンギーナの治療方法
- ヘルパンギーナの合併症
- ヘルパンギーナの自宅療法(療養方法、再発防止など)
- ヘルパンギーナの予防・対策方法
- ヘルパンギーナのリスクチェック
- ヘルパンギーナのセルフチェック

ヘルパンギーナの基礎知識
5歳以下の乳幼児にかかりやすく、主に夏に流行する感染症で、一般的には夏風邪と呼ばれています。2〜4日の潜伏期の後、突然、39度前後の発熱がみられます。喉が痛くなり、つばを飲み込めなくなってよだれが出たり、機嫌が悪くなって哺乳しなくなったり、食欲が低下します。喉にできる水疱(口内炎)も特徴です。3日程度で熱は下がり、喉の症状も1週間ほどで治ります。
ヘルパンギーナ

※2 過去5年間の平均:前週、当該週、後週の合計15週の平均
ヘルパンギーナの症状
突然の高熱(39度前後)と喉の痛み、喉に水疱(口内炎)ができます。水疱は赤くなり、水疱が破れると痛みを伴うこともあります。喉の痛みにより、食欲不振や全身のだるさがみられます。発熱は1〜3日ほど続き、熱が下がってしばらくすると、喉の水疱も治まってきます。
ヘルパンギーナの原因
エンテロウイルス属のウイルスによる感染です。具体的には、ポリオウイルス、コクサッキーウイルスA群(CA)、コクサッキーウイルスB群(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71 型)などがあります。
感染経路には、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する)があります。特に、保育施設や幼稚園など、乳幼児が集団生活をしている施設では注意が必要です。ウイルスの潜伏期があることと、回復後にもウイルスが長期に渡って便から排泄されることがあるため、集団感染が起こりやすくなります。
ヘルパンギーナの治療方法
ウイルスに直接効く薬はありません。熱や喉の痛みなどの症状を和らげる対症療法を行い、自然治癒を待ちます。場合によっては、解熱剤や喉の痛みをとる薬を処方します。ぐったりしている時や、脱水がみられる場合は点滴が必要になることもあります。
ヘルパンギーナの合併症
まれですが、髄膜炎、急性心筋炎が起こる場合もあります。髄膜炎の場合には、発熱以外に頭痛や嘔吐が起こることもあるので、注意が必要です。
ヘルパンギーナの自宅療法(療養方法、再発防止など)
口内炎があってうまく食事ができない場合は柔らかく、味の薄い、冷たい食事にします。食欲が落ちている時はこまめに水分をとるようにしましょう。
ヘルパンギーナの予防・対策方法
有効なワクチンはありません。発病を予防する薬もありません。
接触感染を予防するために、しっかり手洗いをすること、うがいをすることなどが基本の対策になります。手洗いは石けんを使い、流水で洗いましょう。
治った後も2〜4週間ほど、ウイルスが便中に排泄されることがあるため、感染を広げないために、排泄物を適切に処理することが必要です。おむつ交換をする時は特に気をつけ、しっかり手を洗います。
タオルの共用もしません。家庭では兄弟への感染に気をつけること、乳幼児の保育施設などの集団生活では、職員と子どもがしっかり対策をすることが大切です。
ヘルパンギーナのリスクチェック
□ 5歳以下の乳幼児
□ 乳幼児の保育施設などで、普段から集団生活をしている
□ 手洗いやうがいはあまりしない
□ 周囲でヘルパンギーナや手足口病にかかった子ども、人がいる
ヘルパンギーナのセルフチェック
予防・対策はしっかりできていますか?
□ 手洗いうがいをしっかり行う□ 子どもの排便、おむつ替えなどの処理を適正に行っている
□ タオルは共用していない
下記のような症状はありますか?
□ 突然、高熱(39度前後)が出た。□ 口内炎(特に喉に近い部分)がある。
□ よだれが出る。
□ 食欲不振。
□ 全身のだるさがある。