夏バテと胃腸の病気

下痢・便秘が続く
過敏性腸症候群かびんせいちょうしょうこうぐん

監修・取材協力:日本消化器内視鏡学会認定専門医・日本消化器病学会認定専門医
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蟹江 治郎

Medical.T 編集部 M.Ito

  • 下痢や便秘が続く、または両方が交互に起こる
  • ストレスや自律神経の乱れが原因と考えられている
  • 女性に多い
  • 3ヶ月以上にわたる長期的な経過
  • 夏は冷たい飲み物や発汗が症状悪化の誘因に

過敏性腸症候群の基礎知識

大腸や小腸に異常が見つからないのに、下痢や便秘が長期間続く病気。便は大腸で作られ、貯められ、排せつされます。大腸は“貯める”と“出す”の二つの相反した仕事を、一つの臓器でまかなっています。また、腸は自律神経と密接な関係がありお互い影響し合っているため、ストレスなどによってそのバランスが崩れると下痢や便秘などのお通じの異常が起きてしまうのです。

過敏性腸症候群の動向

10人に1人発症するといわれ、女性に多い。年齢とともに減っていくことがわかっています。

過敏性腸症候群の症状

長引く下痢、便秘、あるいはその両方が交互に起こり、「下痢型」「便秘型」「混合型」に分けられます。ただ、胃腸カゼと異なり熱が出ることはなく、病状は3ヶ月以上にわたる長期間の経過となります。排便によって症状がやわらぐのも一つの特徴です。

過敏性腸症候群の原因

原因はストレスや自律神経の乱れ、胃腸カゼも原因となることがあり、複合要素によって発症します。夏になると冷たい飲み物を飲む機会があり下痢の悪化の誘因となり、また夏の気温上昇に伴う発汗は脱水による便秘の悪化の誘因となります。

過敏性腸症候群の検査方法

過敏性腸症候群は「腸内に異常が認められない」というのも診断基準のため、まずは検便検査や大腸カメラなどで腸内に異常がないかを検査します。

過敏性腸症候群の治療方法

過敏性腸症候群は大腸がん、腸の慢性炎症など似た症状の疾病が多くあります。そのため医師への相談の上、正確な診断が必要になります。また、下痢、便秘、またはその両方といった多彩な症状があるため、その症状に応じた治療が必要です。

過敏性腸症候群の自宅療法(療養方法、再発防止など)

趣味の時間を作る、ゆっくりとお風呂につかる、アロマでリラックスするなど、息抜きの時間を作り、ストレスの軽減に努めましょう。適度な運動も腸の働きを整える効果を期待でき気分転換になります。また、下痢の場合は冷たい飲み物やアルコール、乳製品などを控え、便秘の場合は繊維が豊富な食品を摂るなど腸をいたわる食生活を心がけましょう。

過敏性腸症候群の予防・対策方法

はっきりとした原因のある病気ではないため、決定打となる予防法はありません。ただストレスが悪化の誘因といわれているため、睡眠を十分にとり、規則正しい生活に心がけることが重要です。

過敏性腸症候群のリスクチェック

□ ハードワークが続いている
□ 職場や家庭でストレスが多い
□ 生活が不規則である
□ 朝食を抜くことが多い
□ 普段ほとんど運動をしない
□ 真面目で責任感が強い
□ 異動や転職など生活上の変化があった

過敏性腸症候群のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 朝食は毎日必ず摂る
□ 毎日運動をしている
□ 十分な休息・睡眠の時間を取れている
□ 栄養バランスの良い食生活を送れている

下記のような症状はありますか?

□ 下痢または便秘が慢性的に続いている
□ 下痢と便秘を交互に繰り返している
□ 腹痛やお腹の不快感がある
□ お腹の痛みや不快は排便によって和らぐ

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