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悪化する前に、早めの対処で症状改善!
鼻の病気

監修・取材協力:耳鼻咽喉科・アレルギー科
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中山 里香

Medical.T 編集部 M.Hioki

アレルギー性鼻炎や風邪の初期症状として出てくる鼻水やくしゃみ。軽いと思ってそのまま放置すると、耳や喉への影響も出てきます。鼻は呼吸や嗅覚、声の共鳴、空気中のゴミの進入を防ぐ役目などを行っている大切な器官です。症状が続いたら、放置しないで、慢性的になる前に耳鼻科へ受診しましょう。

鼻の病気-基礎知識

鼻の病気の代表としては、鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻出血などがあり、鼻の三大症状と言うと、くしゃみ、鼻水、鼻づまりになります。鼻づまりの原因としては、風邪ウイルスや、アレルゲンによるもの、鼻茸(鼻ポリープ)、副鼻腔炎などの病気によるもの、鼻の構造的な問題によるものなどがあります。鼻づまりを起こすと、集中力が欠けたり、睡眠の質が落ちたりと、生活にも悪影響を及ぼします。子どもにおいては、脳や身体の発育にまで、多大な影響を与える恐れもあります。
鼻炎には、感染症の一種である鼻風邪の「急性鼻炎」や、慢性的な炎症がある「慢性鼻炎」、花粉症で代表される「アレルギー性鼻炎」、鼻粘膜の自律神経の乱れ(過敏症状)による「血管運動性鼻炎」などがあります。動物アレルギーの場合は、命にかかわる発作を起こす場合もあります。長引いたり、繰り返される症状の場合は、安易に自己判断せず、原因を見極めて適切な対処をし、改善させましょう。
また、鼻出血は粘膜が傷ついたり炎症を起こすことによる、キーゼルバッハ部位からの出血が多いようですが、繰り返したり、止まらない場合は、高血圧症や血液疾患、心臓病などが原因の場合もあるため、専門医を受診しましょう。

鼻の病気-近年の動向

食生活や住環境の変化により、アレルギー体質の人や、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)の増加により、鼻炎などの鼻のトラブルに、年中みまわれている人が多くなっています。アレルギー性鼻炎は、近年、発症が低年齢化していて、国民の約4割がかかっているとされています。
さらに、好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にあります。好酸球性副鼻腔炎は、両側の多発性鼻茸と粘調な鼻汁により、高度の鼻閉と口呼吸となって嗅覚・味覚障害を起こす、成人発症の難治性副鼻腔炎です。15歳以下では発症せず、ほとんどが20歳以上の成人になってから発症します。2015年7月に指定難病と認定され、指定医療機関で治療すれば、医療費が補助されるようになりました。

鼻の病気-出やすい症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻血、後鼻漏、嗅覚障害、いびき など

鼻の病気-注意した方がよい人

アレルギーのある人
鼻を強くかむ人
鼻水をすする人
鼻ほじりをする人
いびきをかく人

鼻の病気-考えられる病気

今や花粉症はオールシーズン!
アレルギー性鼻炎

サラサラと水のように流れる鼻水と、くしゃみ、鼻づまりが、一日に何度も繰り返されるのが症状の特徴です。さらに、アレルゲンにより、目や喉のかゆみも起こり、頭痛、食欲不振などの随伴症状が起こることもあります。
アレルギーにはハウスダストやダニ、ペットのフケなどの通年性と、花粉による季節性があり、春のスギやヒノキ、初夏のイネ科、秋のブタクサなどが有名です。周囲に原因物質がある限り、症状が続くため、原因物質となるアレルゲンを把握し、取り除けば症状を抑えることができます。

症状・原因・治療と予防法など詳しく読む

温度の変化によって起こる!?
血管運動性鼻炎

アレルギー性鼻炎のような症状なのに、アレルギー検査をしてもアレルゲンが見つからず、鼻汁や血液にもアレルギー反応が出なかった場合は、血管運動性鼻炎になります。血管運動性鼻炎は、周囲の環境の変化などにより、鼻粘膜の局所自律神経が乱れて起こると考えられています。主に、暖かい場所から寒い場所へ移動した時など、気温の変化が引き金となって発症することが多いので、「寒暖差アレルギー」とも呼ばれています。そのため、症状は環境に慣れると治まってきます。また、花粉症のような目の痒みはありませんが、咳などの随伴症状があるのも特徴です。

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風邪が長引いていると思っていたら・・・
副鼻腔炎

鼻腔を囲むように存在する骨にある空洞を副鼻腔と言い、そこへ膿汁が溜まる病気。いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)です。鼻炎になり、鼻づまりなどの条件が揃うと容易に発症して急性副鼻腔炎になり、治療遅延や放置で慢性副鼻腔炎へ移行します。黄色い粘りのある鼻汁が出たり、嗅覚障害、頭重、後鼻漏の状態が長く続けば、慢性副鼻腔炎を疑います。

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キノコに似た白いポリープ
鼻茸はなたけ

鼻腔の粘膜にできる、きのこ状の良性ポリープ。鼻炎、慢性副鼻腔炎の人が併発しやすく、複数できることもあります。また、気管支喘息、特にアスピリンの服用により発作を起こす人にも、できやすいとされています。
鼻づまりが続く、膿性の鼻汁が出る、鼻声、嗅覚障害、頭痛がするなどの症状がある場合は、鼻茸の可能性があります。

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鼻の病気-鼻づまり解消法!

1、 つまっている反対側の脇の下を温める。
2、 蒸しタオルを鼻に乗せる。
3、 息を止めて頭を上下に振る。
4、 氷をなめる。
5、 メントール入りの軟膏を鼻の入り口に塗る。
6、 目と目の間にあるツボを押す。

鼻の病気今すぐはじめる 予防と対策

  • アレルゲンを把握し、取り除く、近づかない。

  • 事前に予防のための治療を行う。

  • 季節性のアレルギーの場合は、マスクなどを着用する。

鼻の病気 セルフチェック

□ 起きた後や外出したときに、くしゃみや鼻水がよく出る
□ 季節の変わり目は、頭痛や鼻づまりに悩まされやすい
□ 透明の鼻水が出る
□ 熱はないのに、カゼのような症状が続く
□ 花粉症ではないのに、鼻がむずむずする
□ 目のかゆみや充血は無い

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