夏に気をつけたい食中毒

十分な加熱で食中毒を予防!
カンピロバクター

監修・取材協力:磯村医院 院長
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磯村 豊司

Medical.T 編集部 M.Imase

  • 食肉や飲料水、生野菜などが原因食品となり食中毒を引き起こします。
  • 通常の加熱処理で死滅します。
  • 潜伏期間は1日~7日と長めです。

カンピロバクターによる食中毒の基礎知識

家畜をはじめペットや野鳥などあらゆる動物がもっている細菌。食中毒の原因菌として有名で、乾燥にとても弱く、通常の加熱処理で死滅します。潜伏期間は1日~7日で、下痢、血便、腹痛、37~38℃の発熱、頭痛、吐き気などの症状が出ます。

カンピロバクターによる食中毒の症状

潜伏期間は1~7日、平均すると2~3日であり他の食中毒に比べて長いのが特徴です。主な症状は、下痢、腹痛、発熱、頭痛、嘔吐、吐き気です。下痢の回数は1日に数回から10回以上の激しい場合も見られます。発熱はおおむね37℃~38℃台ですが、40℃を超える場合もあります。

カンピロバクターによる食中毒の原因

家畜(牛豚鳥)やペット(犬猫)類の腸管内に生息し、鶏肉をはじめとする食肉、臓器や飲料水、生野菜を汚染します。それらを直接、または汚染された食品の調理に用いた器具などからの二次感染を介して、カンピロバクターを摂取することで感染します。

カンピロバクターによる食中毒の検査方法

便のサンプルを採取し、検査室で細菌を増殖させる検査(培養検査)を行います。

カンピロバクターによる食中毒の治療方法

多くの場合、特に治療をしなくても1週間程度で状態が改善します。患者によっては、脱水を防ぐための点滴治療を行います。重篤な場合は抗生剤が使用されます。

カンピロバクターによる食中毒の合併症

菌血症、ギラン-バレー症候群、反応性関節炎、髄膜炎、骨髄炎、感染性関節炎、まれに心内膜炎を発症することがあります。

カンピロバクターによる食中毒の自宅療法(療養方法、再発防止など)

ぬるま湯や半分程度に薄めたスポーツドリンクなどを少しずつのみ、脱水を防ぎましょう。冷たすぎる水を一気飲みすることは避けましょう。

カンピロバクターによる食中毒の予防・対策方法

カンピロバクターによる食中毒は、加熱に弱いため、食品の正しい加熱調理に努めるとともに、調理などの過程で他の生鮮食品や調理器具の汚染に注意しましょう。
鶏肉などを調理する際には必ず手を洗い、まな板などの調理器具を清潔に保ちましょう。
乳幼児には鶏刺し、牛レバー刺しなどの生食をさせないように気をつけましょう。

カンピロバクターによる食中毒のリスクチェック

□ 5歳以下の乳幼児または高齢者
□ 普段から集団生活をしている。
□ 生肉、生野菜を好む。
□ 生肉を触ることがある。

カンピロバクターによる食中毒のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 生肉は十分に加熱調理している。
□ 生肉の調理をする際は、保管容器や調理器具を分けている。
□ 生肉に触れた後は、十分に手を洗っている。
□ 生肉に触れた調理器具は十分に洗浄し、熱湯消毒をしている。

下記のような症状はありますか?

□ 下痢
□ 血便
□ 腹痛
□ 37~38℃の発熱
□ 頭痛
□ 吐き気

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