夏バテと胃腸の病気

生肉に気を付けて!
細菌性腸炎(食中毒)

監修・取材協力:日本消化器内視鏡学会認定専門医・日本消化器病学会認定専門医
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蟹江 治郎

Medical.T 編集部 M.Ito

  • 腹痛、下痢、嘔吐、発熱が主な症状
  • 生の鶏肉にも原因菌が含まれていることがある
  • 汚染物に触れない、汚染した手指で調理や食事をしない
  • 下痢や嘔吐、発熱による脱水症状に要注意
  • 感染性腸炎の場合は“下痢止め薬が逆に悪化の原因となることがある”

細菌性腸炎の基礎知識

病原性大腸菌、カンピロバクター菌、サルモネラ菌などの細菌に感染することによって起きる細菌性腸炎。集団感染すると食中毒と呼ばれています。

細菌性腸炎の動向

細菌性の腸炎は夏に多い傾向があり、ウイルス性の腸炎は冬から春にかけて多い傾向にあります。

細菌性腸炎の症状

腹痛、下痢、嘔吐、発熱

細菌性腸炎の原因

病原性大腸菌、カンピロバクター菌、サルモネラ菌が代表的な原因菌。汚染された手で調理された食品を食べることや、汚染されている手で食事をすることで感染します。また、生の鶏肉にもカンピロバクター菌やサルモネラ菌などが含まれていることがあり注意が必要です。食事の腐敗も感染源として重要。特に暑い季節は常温での作り置きは避けるようにしましょう。

細菌性腸炎の検査方法

便の培養検査

細菌性腸炎の治療方法

細菌の種類や病状によって薬や治療法が異なるので、医師の意見に耳を傾け治療をすすめましょう。共通して重要な治療は脱水への対策です。嘔吐を助長しない範囲で少量ずつ水分を摂取し、どうしても水が飲めない場合は点滴も有効な手段。腹痛や発熱には炎症を抑える薬も有効で、細菌性腸炎の場合は抗生物質も有効な場合があります。一方であまり知られていないのは、感染性腸炎の場合は“下痢止め薬が逆に悪化の原因となることがある”ということ。下痢というのは、身体の中に居ては不都合な菌などを、外に追い出すための生体の防御反応です。そのため下痢止めは、身体の中に毒を閉じ込め逆に状態を悪化させることがあるので、基本的に使用は避けるようにします。

細菌性腸炎の合併症

下痢や嘔吐、発熱は脱水症状を引き起こす可能性があります。

細菌性腸炎の自宅療法(療養方法、再発防止など)

下痢や嘔吐が続く場合は、こまめな水分補給で脱水症状を起こさないように気を付けましょう。

細菌性腸炎の予防・対策方法

汚染物(嘔吐物、排泄物など)に触れないこと、自分が汚染した手指で調理や食事をしないことにつきます。特に調理前、食事前とトイレの後の手洗いは重要。トイレの中でスマホを触る行為もトイレの菌を外に持ち出す原因になります。また、生の鶏肉の食用は避け、焼き肉の際は焼き台に乗せる箸と食べる箸は、分けて使用しましょう。

細菌性腸炎のリスクチェック

□ 生肉(鶏肉など)をよく食べる
□ 焼肉の時に肉を焼き台に乗せる箸と食べる箸とを分けていない
□ 家族や職場に感染者がいる
□ トイレの中でスマホの操作をしている

細菌性腸炎のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 食事前、調理前、トイレ後の手洗い
□ 調理器具・食器を清潔にする
□ 料理は十分に加熱調理する
□ 半日以上常温で保管した食品は食べない

下記のような症状はありますか?

□ 下痢や嘔吐がおさまらない
□ お腹が痛い
□ 発熱を伴う下痢や嘔吐

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