夏に気をつけたい食中毒
生肉はもちろん、加工食品や水耕野菜にも注意!
腸管出血性大腸菌(O-157)
監修・取材協力:磯村医院 院長
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- 夏から秋にかけて特に増える食中毒の一つです。
- 特に重篤な症状の出るO-157は、最悪の場合死に至ることもあります。
- 加熱調理を心がけ、特に牛肉は75℃以上で1分間以上の過熱を徹底しましょう。
- O-157による食中毒の基礎知識
- O-157による食中毒の近年の動向
- O-157による食中毒の症状
- O-157による食中毒の原因
- O-157による食中毒の検査方法
- O-157による食中毒の治療方法
- O-157による食中毒の合併症
- O-157による食中毒の自宅療法(療養方法、再発防止など)
- O-157による食中毒の予防・対策方法
- O-157による食中毒のリスクチェック
- O-157による食中毒のセルフチェック

O-157による食中毒の基礎知識
腸管出血性大腸菌O-157は、牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性があります。潜伏期間は3日~8日と長く、下痢や腹痛、激しい腹痛や血便を伴う下痢などが主な症状です。
O-157による食中毒の近年の動向
厚生労働省の調べによると、例年夏から秋にかけて感染者が多くなっています。しかし、平成31年2月~3月にかけて同系列の焼肉店・8自治体で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生しました。このことから、季節を問わず、発生することが分かっています。
O-157による食中毒の症状
潜伏期間は3日~8日と長く、下痢や腹痛、発熱や嘔吐などの症状が出ます。O-157の場合は、ベロ毒素と言う強力な毒素が大腸の血管壁を破壊し、鮮血混じりの血便が出るほか、溶血性尿毒症で死に至ることもあります。
O-157による食中毒の原因
大腸菌は、家畜やヒトの腸内にも存在し、そのほとんどは害がありません。しかし、中には下痢などの症状を引き起こす大腸菌があり、病原性大腸菌と呼ばれています。それら病原性大腸菌に汚染された加工食品や水耕野菜などを食べることで人に感染します。病原菌大腸菌の中でも特に、ベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすものは腸管出血性大腸菌と呼ばれます。代表的なものはO-157で、重症化するため注意が必要です。
O-157による食中毒の検査方法
便の細菌検査を行います。下痢が長引いたり、血便が見られるようであれば、尿検査と血液検査などをして、溶血性尿毒症症候群(HUS)が起こっていないかを調べます。
O-157による食中毒の治療方法
抗生物質を投与し、脱水を予防するために点滴治療などを行います。
O-157による食中毒の合併症
まれに、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症をきたすことがあります。HUSを合併した場合の致死率は3~5%と言われています。
O-157による食中毒の自宅療法(療養方法、再発防止など)
ぬるま湯や半分程度に薄めたスポーツドリンクなどを少しずつ飲み、脱水を防ぎます。
O-157による食中毒の予防・対策方法
肉の生食は避け、肉を食べる際は75℃の熱で1分以上加熱してから食べましょう。生肉を取る箸と食べる箸は分けましょう。手指や調理器具は十分に洗い、トイレやおむつ替えの後の手洗いもしっかり行いましょう。
O-157による食中毒のリスクチェック
5歳以下の乳幼児または高齢者
□ 普段から集団生活をしている。
□ 生肉を好む。
O-157による食中毒のセルフチェック
予防・対策はしっかりできていますか?
□ 生肉は十分に加熱調理している。□ 調理器具は清潔に保っている。
□ 調理の前後には十分に手を洗っている。
下記のような症状はありますか?
□ 下痢□ 血便
□ 腹痛
□ 37~38℃の発熱
□ 吐き気