鼻の病気

透明でぷよぷよしたキノコ状の塊
鼻茸

監修・取材協力:耳鼻咽喉科・アレルギー科
中山 里香医師プロフィールへ

中山 里香

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 鼻茸は慢性的な鼻の炎症によって、鼻の粘膜が腫れたもの。
  • 鼻腔や副鼻腔にできる、透明でぷよぷよした良性のポリープ。
  • 大きさもサイズもさまざまで、症状もいろいろある。
  • アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎で炎症が長引くことで、できやすくなる。
  • 症状の特徴は、鼻づまり、嗅覚鈍麻、呼吸がしづらいなど。
  • 手術をしても再発することがあるので、経過観察をする。

鼻茸の基礎知識

鼻茸とは、鼻腔や副鼻腔(顔の骨にある空洞)にできる良性のポリープです。鼻の粘膜が腫れた、ぷよぷよした塊で、腫瘍とは異なります。大きさも形もさまざまありますが、キノコのようにも見えることから鼻茸と呼ばれます。大きなものは鼻の穴から見えることがあります。
鼻茸が小さいうちは、症状はありませんが、大きくなると鼻づまりや嗅覚鈍麻(臭いが感じ難い)、呼吸困難(息がしづらい)、頭痛など、さまざまな症状が現れます。原因もさまざまになりますが、一般的には、副鼻腔炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎に伴って、できることが多いようです。子どもの場合は風邪から急性副鼻腔炎を起こし、慢性化させてしまうことで鼻茸ができることがあります。鼻茸は、慢性副鼻腔炎患者の10~20%に見られます。
また、慢性副鼻腔炎のうち、特殊な好酸球性副鼻腔炎やアレルギー性真菌性副鼻腔炎では鼻茸が多発します。
鼻茸は、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、一部の気管支喘息がある人(特にアスピリン服用によって発作を起こす人)に、できやすいことがわかっています。

鼻茸の近年の動向

近年、アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にあります。そのことから、好中球が主なタイプの鼻茸が減少し,好酸球タイプの鼻茸が増加しています。

鼻茸の症状

鼻茸が小さいうちは、症状はありませんが、炎症が続いて大きくなると、症状が現れます。くしゃみが増える、鼻づまり、嗅覚鈍麻(臭いが感じにくい)、呼吸困難(鼻で息がしづらい)、軽度の頭痛、いびきなどがあります。嗅覚鈍麻の場合は、鼻茸が大きくなって感じにくくなる場合と、好酸球性副鼻腔炎によって、臭いの神経がダメージを受けて感じにくくなる場合があります。

鼻茸の検査方法

基本的には、鼻の中を鼻鏡で見ることで診断できます。鼻の奥を調べるときは、ファイバースコープや内視鏡検査や顔面X線検査を行うことがあります。更に詳しい検査としては、CTやMRIで広がっている範囲を調べるための画像検査や、原因を調べるために鼻茸を採取して調べる病理(組織)検査、原因の病気を調べる検査などを行います。

鼻茸の原因

鼻の粘膜の炎症が強くなると、傷ついた粘膜の一部が変化して飛び出し、鼻茸が形成されます。炎症が続くと徐々に大きくなります。そのため、鼻の粘膜の炎症を起こすアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎になると鼻茸ができやすくなります。
また、鼻茸が多発する好酸球性副鼻腔炎やアレルギー性真菌性副鼻腔炎では、アレルギーを起こす好酸球や炎症を起こす好中球という細胞が鼻の粘膜に集まることで浮腫みが起きるとも言われています。
気管支喘息の人にも鼻茸が見つかることがありますが、原因は気管支喘息にともなう好酸球性副鼻腔炎が原因になります。

鼻茸の治療方法

鼻茸の原因となった病気によって治療法は違います。その病気に合わせて、薬物治療や手術を行います。治療により炎症が治まることで小さくなることもありますが、自然治癒することはありません。
小さい場合は薬物治療による保存療法を行いますが、症状が改善しないときは、手術により除去します。一般的には、内視鏡を用いた鼻内副鼻腔手術になります。
原因の病気によっては、手術を行っても再発することがあります。症状が改善しても薬は途中でやめず、長期的に経過観察しましょう。

鼻茸の予防・対策方法

アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎によって、鼻茸はできやすくなるので、根本的な原因となっている、鼻の病気の治療をし、長引かせないように早めに対処しましょう。
アレルギー性鼻炎の方など、常に鼻に炎症がある場合は、定期的な鼻洗浄がオススメです。鼻洗浄は風邪予防や花粉症対策にもなり、再発防止にもつながります。

鼻茸のリスクチェック

□鼻づまりがひどくなってきている
□食べ物など、においが感じにくくなっている
□鼻の穴の入り口に何かある
□点鼻液が効かない
□アレルギーがひどい
※1つでもあったら、要注意!

関連TOPICS