目の病気

かすみ目?視界がぼやける
白内障

監修・取材協力:柳津あおやま眼科クリニック 院長
眼科専門医
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青山 勝

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 要因としては、加齢によるものが多い
  • 80歳以降には100パーセント発症する
  • 手術以外に治す方法は無い
  • 生活習慣や環境によりリスクが高くなる
  • 症状は、視界がかすむ、光をまぶしく感じるなどさまざま
  • 老眼の進行もあり、白内障の自覚症状は気づきにくい

白内障の基礎知識

一般的に言われている白内障は、加齢性白内障であり、老化によって、80歳以降には100パーセント発症する病気です。目のレンズである水晶体のたんぱく質が、加齢と共に変性し、白く濁ってくることで、視界全体がぼやけて見えづらくなります。老化現象であるため、薬では治せず、手術以外には治療する方法はありません。手術をすることで視力が回復できます。
白内障の原因は、約90%が加齢性であり、他には、先天性、外傷性、アトピー性、糖尿病性、薬剤性など、さまざまな要因によって起こる白内障があります。

【女性の鉄摂取量(1日あたり)】 「白内障手術革命」青山勝(著)より、弊社にて作成

白内障の近年の動向

日本では高齢化に伴い、白内障にかかっている人は増加し続けており、白内障の手術件数は2016年には年間150万件を超えました。この件数は全医療の中でも、最も多い手術件数になります。
また、白内障の多くは加齢性になりますが、近視が強い人ほど早い低年齢で白内障を発症しやすく、近年では、近視人口の増加や低年齢化にともなって若者の白内障が増えてきています。

白内障の症状

【女性の鉄摂取量(1日あたり)】 「白内障手術革命」青山勝(著)より、弊社にて作成

主な症状としては、視界が全体的にかすむ、光をまぶしく感じる、視力低下を感じる、ものが二重に見える、眼鏡をかけても見えにくい、右目と左目の見え方に差があるなど、老眼と共通した症状も含め、さまざまあります。
水晶体の加齢現象は突然起こるものではなく、実は20歳頃から少しずつ始まり、ゆっくりと変化しています。進行は個人差があり、早い人では40代半ばから濁りが出始める人、80代になっても自覚症状に気付かない人もいます。特に水晶体が茶濁するタイプの人は気付きにくいようです。

白内障の検査方法

基本的な眼科の視力検査、屈折検査、眼圧検査などで調べることができます。視力検査では、裸眼視力と矯正視力を比較するなどして確認し、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査では、水晶体のにごりの強さを見ることで、進行具合などを調べ、他の眼疾患はないかなども確認します。水晶体のにごりが強い場合は、網膜電図検査(ERG)や超音波エコー検査で眼底の状態を調べることもあります。また、近年においては、網膜の断層を観察できる「光干渉断層計(OCT)」という画期的な検査も行われるようになり、さまざまな眼底の異常が早期発見できるようになりました。
そして、白内障と診断され、手術を受ける場合は、自覚症状に合わせてさらに精密検査を行います。

白内障の原因

眼球断面図と組織の役割

白内障になる原因の約90%は加齢によるものです。加齢性白内障は、主に水晶体の老化現象が要因であり、女性に現れやすく、遺伝も白内障の発症に関係があるとされています。さらに、喫煙、紫外線、薬物、放射線、身体条件など、生活習慣や環境によって、リスクも高まります。
加齢以外の要因としては、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併によるもの、目のケガや薬剤、放射線によるもの、妊婦の風疹による先天的なものなど、さまざまあります。また、視力障害のある子どもの約10%は、生まれつき水晶体に異常がある先天性白内障が原因とされています。

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白内障の治療方法

眼球断面図と組織の役割

白内障は、主に加齢による水晶体のタンパク質の変性によるため、手術以外には治療する方法はありません。
手術により、濁った水晶体を取り除き、水晶体の代用となる人工眼内レンズを移植することで視力が回復します。眼内レンズは半永久的に使用できるため、原則的には一回の手術で済みます。
現在は、患者さんへの負担も減り、手術自体も短時間で、日帰り手術が普通となっています。眼内レンズも、さまざまな種類があり、目の状態や術後の生活を考慮して適切なものが選ばれます。
さらに、近年は、最先端のレーザー白内障手術装置と多焦点眼内レンズによって、白内障だけでなく、近視や老眼を含めた屈折異常の矯正もでき、手術後には快適な裸眼生活が可能になっています。

眼球断面図と組織の役割 「レンズエックス(日本アルコン)」
難易度の高い白内障手術の過程を、短時間で正確に、かつ安全に行えるようにした、国内初承認の白内障手術用レーザー手術装置。

白内障の予防・対策方法

白内障の進行には、自身を取り巻く環境や生活習慣による影響は無視できません。わかりやすいのは喫煙と紫外線になります。喫煙量、紫外線を浴びる量が多いほど、白内障になるリスクが高まります。喫煙においては目以外の病気のリスク要因ともなるため、喫煙を控える、もしくは禁煙する。紫外線はサングラスや帽子などの装用による紫外線対策で浴びる量を調整しましょう。
そして、40歳を過ぎたら加齢を意識し、規則正しい健康的な生活をして、ストレス発散や適度な運動など、エイジング対策をすることも目の健康維持に繋がります。

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