目の病気

スマホ依存症は注意!
スマホ老眼

監修・取材協力:柳津あおやま眼科クリニック 院長
眼科専門医
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青山 勝

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 長時間のスマホの使用によって若年層に起こる現代病
  • 目を酷使することで、毛様体筋が疲労して起こる
  • 近くが見えづらい、ピントが合わせにくいなど、老眼のような症状
  • 老眼と同様に、放置すると肩こりや倦怠感など体調不良にも繋がる
  • 一時的な軽い症状の場合は、目を休めることで治まる

スマホ老眼の基礎知識

新たな現代病として若年層に広がっているスマホ老眼。長時間にわたるスマホやタブレットなどの使用によって、手元が見づらい、ピントが合わせにくいなど、老眼のような症状が起きます。手元の画面を長時間見続けることで、ピントを合わせる毛様体筋に負担がかかり、筋肉が疲労することが原因です。医学的には調節緊張と呼ばれるもので、一時的なものが多く、眼を休めることで症状が治まることもありますが、繰り返しや放置することで、新たな病気に繋がったり、老眼を早める危険性も指摘されています。

スマホ老眼の近年の動向

近年、スマホだけでなく、テレビ、パソコン、タブレット、ゲーム機と、長時間において、液晶画面を凝視する時間が増え、問題となっています。また、目の酷使は大人だけでなく、教育現場でもデジタル化が進み、スマホ育児など、子どもにおいても習慣化と低年齢化が懸念されています。それと共にスマホ老眼もさらに若い世代にまで広がり、小学生で発症するなど、低年齢化が深刻な問題となっています。

眼球断面図と組織の役割
総務省「平成29年通信利用動向調査(2018訂正)を参照に弊社にて作成

スマホ老眼の症状

近くが見づらい、ピントが合わせづらい、薄暗いと見えにくいなど、老眼に似た症状が起こります。さらに、長時間の凝視や無理してピントを合わせようとすることで、眼精疲労、かすみ目、ドライアイ、目の痛みなどの症状、そして、毛様体筋を酷使することによる自律神経の乱れから、首こりや肩こり、頭痛などの症状も起こります。

スマホ老眼の検査方法

スマホ老眼の検査はありませんが、視力測定や眼圧測定、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査などの基本的な眼の検査をし、他の病気の症状が無いか確認します。

スマホ老眼の原因

長時間にわたって、スマホの小さな画面の小さな文字を近距離で凝視するため、目のピント調整が利かなくなることで起こります。目を酷使することで、水晶体を支えている毛様体筋が凝り固まり、疲労し、調整機能が衰えてしまうことが原因です。

スマホ老眼の治療方法

毛様体筋の疲労が原因なので、初期症状の場合は、目を休ませたりして、毛様体筋の疲れをほぐすことで、症状が治まります。しかし、繰り返すスマホ老眼の場合は、放っておくと、他の目の病気や視力の衰えなどに繋がるため、眼科を受診し、個々の症状に合わせた治療を行います。

スマホ老眼の合併症

ドライアイ、眼精疲労、視力低下、自律神経の乱れによる睡眠障害、頭痛、肩こりなど、様々な疾病のリスクも高くなる可能性があります。

スマホ老眼の予防・対策方法

スマホ老眼の予防は、まずは、スマホとの付き合い方を考えることが必要です。スマホを利用する際の理想的な眼との距離は30~40cmと言われています。早いスクロールや明るすぎる画面も目に負担がかかるため、スマホの設定を調整しておくことも大切です。使用する際は、「画面から目を離す」「画面を凝視しない」「使用時間を決める」「定期的に目を休ませる」「意識的にまばたきをする」などの疲れ目対策をし、目への負担を減らします。目の疲れを感じたら、目の周りを温めたり、マッサージをして、凝り固まった毛様体筋をほぐすなどをし、目へのダメージを蓄積しないように、日々のアイケアが大切です。

スマホ老眼のセルフチェック

□スマホを1日5時間以上使っている
□スマホから視界を外すとき、周辺がぼやける
□手元のものを見ていると疲れたり、視界がぼやける
□夕方になると見えにくくなる
□就寝前など、暗い場所でスマホを見ることが多い
□最近、首や肩こり、頭痛の症状が続いている
□休んでも、目や体の疲れがとれない
※チェックが多いほどスマホ老眼の可能性大!

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