認知症

中核症状と「ククカカ」に注意を!
アルツハイマー型認知症

監修・取材協力:おくむらメモリークリニック 理事長
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奥村歩

Medical.T 編集部 M.Imase

  • 老年期にみられる認知症の約半数がアルツハイマー型認知症です。
  • 記憶力や視空間認知の障害など中核症状が主な症状です。
  • 認知症が進行すると妄想や徘徊など、BPSD(行動・心理症状)があらわれる場合があります。
  • 治療では、患者にとって快適な環境を整えつつ、抗認知症薬を使って認知症の進行を遅らせます。

アルツハイマー型認知症の基礎知識

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でももっとも一般的です。記憶障害や視空間認知の障害、遂行実行機能の障害などが主な症状ですが、人によっては妄想や徘徊、うつ症状を伴うこともあります。

【周囲の方が注意すべき「ククカカ」】
「ク」薬の管理・飲み間違え・飲み忘れ・飲みすぎに注意
「ク」自動車事故の被害者と加害者にならないように注意
「カ」火事・火の元に用心
「カ」お金の管理・詐欺・散財などに注意

アルツハイマー型認知症の症状

初期の段階では「中核症状」と呼ばれる以下のような症状があらわれます。
・記憶の障害…もの忘れや、同じことを何度も言ったり聞き直したりなど
・視空間認知の障害…歩行のスピードが遅くなる、道に迷うなど
・遂行実行機能の障害…風呂に入る、着替えをするなど、手順通りに生活を営むのが困難になる
人や環境によっては、不安や幻覚、意欲低下、妄想、徘徊などの「BPSD(行動・心理症状)」があらわれます。

アルツハイマー型認知症の検査方法

問診によって、本人や家族から現在の状況を聞いた後、認知機能の障害をテキスト形式で診断します。さらにMRIで脳の形態を診断。アルツハイマー型の場合、海馬とその周辺が強く萎縮してくるため、診断がつきやすいと言えます。

アルツハイマー型認知症の原因

アミロイドβと呼ばれる老廃物が脳にたまることが原因とされています。アミロイドβは加齢に伴って蓄積するため、誰にでもアルツハイマー型を発症する可能性はあると言えます。

アルツハイマー型認知症の治療方法

症状の進行を遅らせる効果のある抗認知症薬を服用します。現在、日本の保険診療では4種類の抗認知症薬を利用できます。薬の形態も錠剤・シロップ・貼り薬などがあるため、本人に合ったものを選びましょう。
同時に、本人が心地よく過ごせる時間を持つことや環境づくりも大切です。昔の思い出を引き出す回想法や、音楽療法、運動療法などの非薬物療法で、症状の緩和を促します。

アルツハイマー型認知症の予防・対策方法

・栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。
・人と話すなど人とのコミュニケーションを積極的にとりましょう。
・散歩やウォーキングなど適度な運動を習慣づけましょう。

アルツハイマー型認知症のセルフチェック

□人と会う約束やその日時を忘れる
□最近の出来事で印象的だったはずのことが思い出せない
□電話で受けた内容が伝達できない
□大切なものをなくしたり、置き忘れたりすることが多くなった
□今までできていた仕事や家事がこなせなくなった
□テレビのリモコン操作ができなくなった
□栓抜きで瓶のふたが開けられず、缶切りで缶詰めのふたが開けられなくなった
□よく行く場所なのに道に迷うようになった
□テレビドラマの内容が理解できなくなった

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