冬の皮膚疾患

乾燥で皮膚がカサカサ
皮脂欠乏性湿疹ひしけつぼうせいしっしん

監修・取材協力:ごきそ皮フ科クリニック 院長
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本レーザー医学会認定レーザー専門医
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蒲澤 ゆき

Medical.T 編集部 M.Ito

  • 皮膚の乾燥によってかゆみを生じ、我慢できずにかくと悪化して湿疹状態に
  • 喫煙やストレス、食生活の乱れなども原因となる
  • 気温と湿度が低下する冬によく見られる
  • すね、腰周り、背中、口周り、目の周りが特に乾燥しやすい

皮脂欠乏性湿疹の基礎知識

乾燥した皮膚(皮脂欠乏症)に強いかゆみを感じ、我慢できずにかいてしまうことで湿疹化してしまう皮膚の病気。皮膚の乾燥、皮脂欠乏症が現れやすい部位は、膝下前面(すね)、腰周り、背中、顔の中では口周り、目の周りなど、皮脂の分泌が少ない部位です。

皮脂欠乏性湿疹の近年の動向

近年では、気密性の高い住居で、昔より部屋の中が乾燥している場合が多いです。部屋の中が乾燥しすぎないよう加湿器を使用したり、濡れたタオルを部屋の中にかけておくなどこまめな工夫を行い、皮膚の乾燥を予防しましょう。

皮脂欠乏性湿疹の症状

乾燥によって、皮膚がカサカサになったり、白く粉を吹いたような状態になり、強いかゆみを感じるようになります。我慢できずにかくと、赤くひび割れた湿疹状態になります。湿疹状態になるとさらにかゆみが増し、ますますかいて悪化するという悪循環に陥ります。

皮脂欠乏性湿疹の検査方法

視診により診断します。

皮脂欠乏性湿疹の原因

肌の表面には角質層という細胞の層があり、その外側を皮脂が覆うことで皮膚のバリア機能を担っています。このバリア機能が壊れると乾燥などの皮膚トラブルが見られます。乾燥は、皮脂が少なく角質層がめくれ上がった状態となり、皮膚の水分が抜け出てしまう状態。刺激が神経に届きやすくなり、少しの刺激でもかゆみを感じやすくなります。乾燥した皮膚の表面は傷つきやすいため、かゆみから爪などでひっかいてしまうと、角質層がさらにめくれ上がり乾燥が進んでしまいます。

皮脂欠乏性湿疹の治療方法

乾燥を防ぐ塗り薬や、炎症をおさえるステロイド外用薬などが処方されます。かゆみを抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬が用いられる場合もあります。

皮脂欠乏性湿疹の自宅療法(療養方法、再発防止など)

かくと症状が悪化するため、かかないように工夫しましょう。日常生活で乾燥を防ぐとともに、患部を清潔に保ち、保湿剤や処方された塗り薬を使用しましょう。

皮脂欠乏性湿疹の予防・対策方法

ちょっとした習慣や工夫で乾燥を予防しましょう。日常生活で気を付けるポイントは、まず入浴時です。
●熱いお湯に長く入り過ぎない
●石鹸はよく泡立ててなでるように素手で洗う
●洗浄力の強いボディーソープなどを使いすぎない
●ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗わない
●保湿効果のある入浴を利用する

手洗いも、冬はお湯を使うことが多くなり皮脂がとれやすくなります。手洗い後はまめに保湿剤を塗りましょう。気密性の高い室内は、エアコンやヒーターなどで乾燥しており、加湿器などを利用して部屋の湿度を上げる対策も有効です。下着などは綿素材など刺激の少ないものを心がけ、栄養バランスがよい食事も大切です。さらに悪化させないために、肌の乾燥を感じたら早めに保湿剤ケアを始めましょう。

【体の内側から保湿力を高めよう】
化粧水やクリームによる保湿はもちろん、以下の栄養素を積極的に取り入れて、体の内側から保湿ケアを行いましょう。
●ビタミンE…ごま、ナッツ類
●ビタミンB2…マグロ赤身、カツオ、玄米など
●ビタミンA…緑黄色野菜、レバーなど

皮脂欠乏性湿疹のリスクチェック

□ 秋冬になると肌がカサカサになる
□ 熱いお風呂が好きで寒い冬は特に長湯する
□ 水仕事をする
□ 高齢者
□ 肌がかゆいと我慢できずにかいてしまう

皮脂欠乏性湿疹のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□ 保湿ケアを欠かさない
□ 加湿器を使用している

下記のような症状はありますか?

□ 足・腰・お尻など肌がカサカサ
□ 白く粉をふいている
□ 肌がかゆくてたまらない

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