甲状腺の病気
甲状腺ホルモンが過剰になる
バセドウ病
監修・取材協力:名古屋甲状腺診療所
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- 甲状腺機能亢進症の代表的な病気
- 「メルセブルグの3徴」と呼ばれる特徴的な症状がある
- 特徴的な症状は、甲状腺の腫れ、甲状腺機能亢進症状、眼症状の3つ
- 甲状腺ホルモンの値や、性別、年齢によって、さまざまな症状が現われる
- 「疲れやすくなる」といった症状が多くの人にみられる
- 男性より女性に多く、30~40歳代に多発する
- 治療は、抗甲状腺薬治療、アイソトープ治療、手術の3種類がある

バセドウ病の基礎知識
甲状腺ホルモンを必要以上に作りすぎてしまう状態を起こす、甲状腺機能亢進症の代表的な病気です。男性よりも女性に多く、30~40歳代に多発します。はっきりとした原因はわかっていませんが、自己免疫疾患という免疫に異常が生じることが原因のひとつと考えられています。
症状としては「メルセブルグの3徴」と呼ばれる「甲状腺の腫れ」「眼症状(眼球突出など)」「甲状腺機能亢進症状(動悸、体重減少、手のふるえ、疲れやすい、汗をかくなど)」の3つの症状が特徴的ですが、全ての症状がそろって出現する人は少なく、性別や年齢などでも症状の現れ方は異なります。特に子どもの場合には成績の低下、落ち着きのなさや集中力低下などの情緒や行動の変化が身体症状より目立つ場合もあります。

バセドウ病の症状
バセドウ病には「メルセブルグの3徴」と呼ばれる3つの特徴的な症状があります。「甲状腺の腫れ」、動悸、体重減少、手のふるえ、疲れやすい、汗をかくなどの「甲状腺機能亢進症状」、眼球が前方に突出してくるなどの「眼症状」です。しかし、全ての症状がそろって出現する人は少なく、甲状腺ホルモンの値や、性別、年齢などでも症状の現れ方は異なります。典型的な症状に気づかず、「最近疲れやすい」とだけ感じる人もいます。子どもの場合は集中力が低下し、落ち着きがなくなり、学校の成績低下が見られることもあります。

バセドウ病の検査方法
血液検査をして、甲状腺ホルモンが高値でTSHが低値であることを調べます。確定診断にはTSH受容体抗体の血液検査が有用ですが、血液検査のみで診断できない場合は放射性ヨウ素摂取率検査を行います。
バセドウ病の原因
発症の原因はまだすべて解明されていませんが、何らかの原因でTSH受容体抗体ができ、この抗体が甲状腺を刺激することにより、甲状腺ホルモンが過剰につくられるようになります。
バセドウ病の治療方法
病状、年齢、患者さんの希望などを考慮して、①薬物療法、②アイソトープ(放射性ヨード)治療、③手術療法 の3つの方法の中から選択します。
日本では抗甲状腺薬の治療がはじめに選択されることが多いのですが、治療経過によっては、その他の治療を行うことがあります。
治療によって甲状腺機能が良好にコントロールできていれば、日常生活に制限はありません。眼症状がある場合は専門の眼科医による治療も必要になります。
バセドウ病の予防・対策方法
原因がすべて解明されておらず、予防法はありません。バセドウ眼症状は、喫煙者に強く出る傾向があるため、禁煙が必要です。また、少しでも精神的なストレスを軽減することが症状の緩和に繋がります。
バセドウ病のセルフチェックと【間違われやすい病気】
□動悸や息切れ、頻脈や不整脈がある【心臓病】
□体重が減る、のどが渇く【糖尿病】
□最高血圧が高くなる【高血圧症】
□汗が異常に多い、のぼせやすい【更年期障害】
□微熱や下痢が続く【大腸の病気】
□イライラする、興奮しやすい【躁うつ病】
□月経異常【婦人科系の病気】
□手のふるえ【神経系の病気】
□疲れやすい【貧血など】
※チェックが多数なら、甲状腺の検査を行いましょう!