乳がん

乳がん早期発見のために
検診・乳がんセルフチェック

監修・取材協力:ココカラウィメンズクリニック 院長
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伊藤 加奈子

Medical.T 編集部 A.Ito

  • 乳がん検診は血自体の集団検診、または個人的に病院で受けることができます。
  • マンモグラフィ検査と超音波(エコー)検査にはそれぞれ特徴があります。
  • セルフチェックは月に1回行いましょう。
  • 乳がん検診とセルフチェックを両方行うと、発見率が高まります。

乳がん検診・セルフチェックの基礎知識

乳がん検診は早期発見に有用です。機械による検査はマンモグラフィ検査と超音波(エコー)検査があります。それぞれ検査に特徴があり、併用して行うことで発見率が高まるという意見もあります。胸の張りの強い女性、20〜30代で検診を初めて受ける人は乳腺エコーがお勧めです。
まだ一度も検診を受けたことが無い40代以上の女性は、自治体で行っている乳がん検診を利用するなど、まずは一度受けてみて、自分の体の状態を知ることが大切です。

定期的な検診の間隔の間に進行してしまうこともあります。また、検診も100%がんを発見できるわけではないため、毎月1回のセルフチェックと共に、1年に1回の画像検診を受けることをおすすめします(行政では2年に1回の健診が推奨されています)

血縁者に乳がんの罹患者がいる場合は罹患するリスクが高くなると言われています。より慎重になって、毎月のセルフチェック、定期的な検診受診をおすすめします。

乳がん検診の受け方

[40歳を過ぎたら定期的に検診]
乳がんの罹患率が高まる40歳以降は1〜2年に1回、検診を受けましょう。血縁者に乳がんの罹患者がいる場合は1年に1回、両方の画像検診をおすすめします。また、罹患者が多い場合は20〜30代からでも定期的な乳腺エコー検診を受けることをお勧めしています。専門医に相談してみましょう。

[マンモグラフィの検査は月経の終わった後がベスト]
胸を圧迫して検査をするマンモグラフィの場合、胸が張っていると痛みを感じやすいので、月経開始後から次の排卵時期までの間など、胸の張りが少ない時に検査を受けると良いでしょう。

[自治体や職場等の健康診断で行う乳がん検診を受ける]
低料金の自己負担で乳がん検診を受けることができる自治体があります。2年に1回のペースで実施しているところが多くあります。また、職場の健康診断で乳がん検診を受けられる場合もあります。
[直接、医療機関で検診を行う]
今すぐ受けたい、自分のタイミングで受けたい、リスク因子が高いなどの人は、乳がん検診を行っている医療機関で直接、受けることができます。自費のため費用は施設によってばらばらですが、平均は1検査、5000円〜1万円です。

検診は、
問診

(視触診)

マンモグラフィ検査・超音波検査
の順に行われ、問題がなければ、検査結果は郵送されることが多くあります。
(それぞれの検査方法は「乳がん・検査方法」を参照)

●マンモグラフィ
乳腺専用のX線検査機を使い、しこりの位置や広がりを調べます。プラスチックプレートに乳房を挟んで圧迫し、乳房を平らにして撮影します。視診・触診では発見しにくい、小さな病変(主に石灰化)を見つけることができます。集団検診に広く利用されている健診・検査方法です。多少の痛みを伴いますが重要な検査です。40代以上の方に推奨されます。

●超音波(エコー)検査
乳房の表面から超音波を当てて、画像を見ながら乳房の状態を見る検査です。上半身裸でベッドに仰向けに寝て行います。痛みや負担はほとんどありません。20代、30代の乳腺が多く胸の張りが強い人に推奨される健診方法です。被爆がないので妊娠中の人も検査が可能です。また、乳腺の密度が高く、マンモグラフィでは検出しにくい腫瘤や水を含むのうほうは超音波検査で検出されることがあります。

セルフチェックの方法

月1回のセルフチェックを習慣にしてみましょう。見て、触るだけの簡単なチェックですが、乳腺の変化に気がつくことができる可能性があるため、乳がん検診と合わせて、定期的に行いましょう。
40代以降の方はもちろん、20代、30代の方も積極的に行うことができます。普段から自分の乳房をチェックしておくと、乳房のえくぼなどの皮膚の変化や、しこり、乳房周辺のリンパ節の腫れに気がつくことができるでしょう。
乳がんが進行すると腫瘍が大きくなるので、触るとしこりが分かるようになります。しこりは乳がんでない場合もあるので、気になる症状があれば、乳腺外科を受診しましょう。

[見てチェック]
●鏡の前で両腕を高く上げたり下げたりして、次のような状態があるかチェックしましょう。
□ 左右の形の違い
□ くぼみ
□ ひきつれ
□ 乳輪のへこみなどの変化
□ 皮膚表面の湿疹

【女性の鉄摂取量(1日あたり)】

●乳房や乳首をつまみ、分泌物がないかチェックしましょう。

[触ってチェック]
順番に行いましょう。
1. 4本の指の腹全体を使います。
2. 乳房に少し圧をかけながら「の」の字を書くように、指を押し動かします。
3. 乳房全体にしこりや硬い部分がないかチェック。
4. 脇の下、鎖骨周辺も同じように触ってチェック。

【女性の鉄摂取量(1日あたり)】

乳がんができやすい部位を意識するとよいでしょう。

【女性の鉄摂取量(1日あたり)】

乳がんセルフチェックのポイント

□ 月経が終わった4〜5日後、閉経後は日を決めて毎月行いましょう。
□ 入浴前、入浴中に行うとスムーズにチェックができます。就寝前、寝ながら触ってチェックするのもよいでしょう。
□ 触ってみて、ビー玉や小さい石のように感じられるのもがあったらそれが「しこり」です。硬かったり、柔らかかったり、動くしこりもあります。
□ 気になる症状があったら「乳腺外科」を受診しましょう。

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