急性中毒

身近な飲料の過剰摂取で・・
急性カフェイン中毒

監修・取材協力:岐阜県総合医療センター 救命救急センター長
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豊田泉

Medical.T 編集部 M.Hioki

  • 一度に1g(1000mg)以上のカフェインを摂取すると中毒症状が出る。
  • 眠気防止薬やエナジードリンク、珈琲や風邪薬などの併用による過剰摂取で発症しやすい。
  • 短時間に過剰摂取すると、急性中毒を発症し、重篤な症状に陥いることもある。
  • エナジードリンクによる急性カフェイン中毒では、死亡者も出ている。
  • 症状としては、吐き気や意識の低下、手足のしびれなど。

急性カフェイン中毒の基礎知識

身近な飲料や食品、医薬品などに含まれているカフェイン。カフェインを含む代表的な飲み物としては、珈琲、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどがあり、カフェインには眠気覚ましや集中力を高める効果などの中枢神経を刺激して覚醒する作用があります。カフェインの許容量には個人差がありますが、短時間に過剰摂取すると、吐き気や意識の低下、手足のしびれなどの中毒症状を発症し、重篤な症状に陥ることもあります。近年、問題視されているエナジードリンクによる急性カフェイン中毒では、死亡者も出ています。
カナダ保健省の発表によると、健康な大人で1日の安全なカフェイン摂取量は、女性は300mg程度、男性は400mg(マグカップ珈琲3杯)程度とされています(個人差有)。眠気防止薬やエナジードリンクを飲む時は、必ず用法を守り、珈琲や市販の風邪薬などのカフェインを含むものと併飲しないようにしましょう。

急性カフェイン中毒の近年の動向

日本中毒学会は、2015年にカフェイン中毒による死亡例が判明されたことなどから、初の全国調査を行っています。全国の救急医療機関38施設を対象に、2011~2015年度に救急搬送されカフェイン中毒と判明した人を集計し、少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止、うち3人が死亡したことが分かっています。カフェイン中毒者は2013年度から急増しており、眠気防止薬の服用、エナジードリンクや珈琲などの併飲者が多く、エナジードリンクだけの中毒者は4人だったとされています。若者を中心に、カフェインが多い飲料や食品の摂取機会の増加や、カフェイン配合の医薬品などが適正に使用されていないことが影響しています。

急性カフェイン中毒の症状

急に脈拍数・呼吸数の増加、めまい、胸痛、興奮、震え、不眠などが生じ、下痢、吐き気や嘔吐の症状が現われます。体内では、低リン血症や高血糖、高乳酸血症、横紋筋融解症などの危険な症状が進行していることがあります。

急性カフェイン中毒の検査方法

血中のカフェインを測定するには、特殊な方法が必要であり、通常の医療機関では行うことはありません。しかし、重症であれば、不整脈に対しての心電図検査やその他の臓器障害を確かめる血液検査、画像検査を行うこともあります。

急性カフェイン中毒の原因

カフェインを短時間に過剰摂取したり、長期において摂り続けることによって、中毒症状が起こります。カフェインは、一度に1g(1000mg)以上を摂取すると中毒症状が出るとされています。珈琲などの身近な飲料や食品にも含まれているため、眠気防止薬やエナジードリンクなどを併飲することで、過剰摂取となって中毒になることが多いようです。

急性カフェイン中毒の治療方法

カフェインには有効な解毒剤がありません。点滴などによって、血中濃度を下げることと、さまざまな中毒症状への対象療法となります。命に係わる重症の状況ではICUでの入院管理も必要となります。

急性カフェイン中毒の予防・対策方法

一度にカフェインを多く含むものを大量摂取しない。
1日においても、カフェインを含む多種多様なものを、併飲しないように気を付ける。
長期において、エナジードリンクやカフェイン配合の医薬品などを飲み続けないようにする。

身近な商品のカフェイン含有料

※玉露はカフェインを最も含む飲料なりますが、テアニンと結合してカフェインが抑制されるため、大量に飲み過ぎなければ中毒に至ることはないようです。

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