脂質異常症

HDL(善玉)コレステロールが少ない
低HDLコレステロール血症

監修・取材協力:医療法人大河内会おおこうち内科クリニック 理事長・院長
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大河内 昌弘

Medical.T 編集部 M.Ito

  • HDLコレステロールが40mg/dl未満
  • 主な原因は運動不足や喫煙、肥満、糖質の摂りすぎ
  • まずは食事療法、運動療法で治療が進められる

低HDLコレステロール血症の基礎知識

血液中にある余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをするHDL(善玉)コレステロール。低HDLコレステロール血症は、HDL(善玉)コレステロールが少なく、LDL(悪玉)コレステロールが血液中に過剰に残ってしまう状態。HDLコレステロールが少ないと、LDLコレステロールを回収しきれないため、余分なコレステロールが動脈の壁に沈着し、プラークというコブができて血管が狭くなり、動脈硬化を進行させてしまいます。以前は「高脂血症」と言われていましたが、この低HDLコレステロール血症を含めるようになり、「脂質異常症」へと改められました。

低HDLコレステロール血症の症状

自覚症状がないため、健康診断で指摘されて認識する人がほとんどです。

低HDLコレステロール血症の検査方法

一般的な健康診断で行われる血液検査で調べます。総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値があり、それぞれ基準値を超えているかを確認します。HDLコレステロールが40mg/dl未満の場合は、低HDLコレステロール血症の疑いがあります。

低HDLコレステロール血症の原因

生活習慣病の一つに挙げられるように、生活習慣が原因となる場合がほとんどです。特にHDLコレステロールは糖質やアルコールの摂りすぎ、運動不足や喫煙などが原因で低下します。

低HDLコレステロール血症の治療方法

食事療法と運動療法にて治療します。このタイプの脂質異常症では、有酸素運動など運動療法が積極的に取り入れられます。禁煙や、適度な飲酒にも努めましょう。
効果が見られない場合は薬物治療を取り入れ、コレステロールや中性脂肪をコントロール。薬物治療は、血液をサラサラにし、動脈硬化の改善が期待できます。

低HDLコレステロール血症の合併症

最も多く見られるのが動脈硬化です。さらに動脈硬化から、心筋梗塞、狭心症、大動脈瘤、大動脈瘤破裂、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞、脳卒中、腎不全、腎硬化症などの疾患へ移行していきます。

低HDLコレステロール血症の予防・対策方法

まずは日頃の食事、運動、喫煙、飲酒など生活習慣を見直してみましょう。脂質異常症は自覚症状がなく病気の状態が分かりにくいため、定期的に血液検査を受けてコレステロールと中性脂肪の値を把握しておくことも大切です。

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