冬特有の病気

流行前のワクチン接種で発病の可能性を低減
インフルエンザ

監修・取材協力:すぎやま内科クリニック院長
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杉山正洋

Medical.T 編集部 M.Imase

  • 平均3日の潜伏期間のあと、突然の発熱、筋肉痛、関節痛とともに風邪に似た症状が出ます。
  • 主な感染経路は感染者からの飛沫感染です。
  • 発症から48時間以内に薬を服用すれば、症状を抑えることができます。
  • 小児や高齢者、慢性疾患を患っている人は合併症のリスクがあります。
  • ワクチン接種や手洗いなどで予防することができます。

インフルエンザの基礎知識

平均3日(1~5日)の潜伏期間についで、突然の発熱や筋肉痛、関節痛などの全身症状とともにのどの痛みや咳、鼻水などの気道症状があらわれます。とくに流行的な広がりを見せるのがA型、B型。流行前にインフルエンザワクチンを接種することにより、発病や重症化のリスクを軽減できることが分かっています。

インフルエンザの近年の動向

近年、国内で流行しているインフルエンザウイルスはA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)とB型の3種類です。このうちA(H1N1)亜型のウイルスは、ほとんどが平成21(2009)年に発生したH1N1pdmウイルスです。A(H1N1)亜型のウイルスのなかでも、平成21年(2009年)より前に季節性として流行していたもの(Aソ連型)は、平成21年(2009年)のインフルエンザ(H1N1)pdm2009ウイルス発生後、ほとんど姿を消しました。これら3種類のインフルエンザウイルスは、毎年世界中で流行を繰り返しています。流行するウイルス型や亜型の割合は、国や地域、年ごとに異なります。
毎年、厚生労働省の審議で、ワクチン製造候補株が決められますが、今年2019年度は、A型H1N1ブリスベン型、A型H3N2カンザス株、B型山形系統プーケット株、B型ビクトリア系統メリーランド株の4価に決定しました。

インフルエンザの症状

平均3日(1日~5日)の潜伏期間のあと、気道症状(のどの痛み、咳、たん、鼻水、鼻ずまり)や全身症状(突然の発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、だるさ)などがあらわれます。
症状が通常の風邪に似ていますが、突然の発熱や筋肉痛、関節痛などを強く感じるようであれば、インフルエンザを疑いましょう。

インフルエンザの検査方法

検査には専用のキットを用います。鼻水やのどの粘液を採取し、抗原抗体反応を見ます。

インフルエンザの原因

インフルエンザウイルスは、感染者のくしゃみや咳など、ウイルスを含んだ粒子を鼻や口から吸いこむことで感染します。(飛沫感染)
ほかにも、空気中をウイルスの粒子が浮遊し、それを吸い込んで感染する場合や(空気感染)、ウイルスが付着したものや手指に触れて感染することもあります(接触感染)。

インフルエンザの治療方法

発症から48時間以内に、抗インフルエンザウイルス薬の服用を開始することで、発熱期間を通常1~2日間に短縮することができ、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。
ただし、発症から48時間以降に服用した場合は十分な効果は期待できません。

インフルエンザの合併症

小児の場合、中耳炎、熱性けいれんや気管支喘息、脳症を誘発することがあります。
高齢者や、呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ人、糖尿病などの代謝異常を有する人、免疫機能が低下している人などは、持病の悪化とともに、肺炎など二次的な細菌感染を起こしやすくなるため注意が必要です。重症化した場合は入院や、最悪の場合、死に至ることもあります。

インフルエンザの自宅療法(療養方法、再発防止など)

定期的に通院して医師の診察を受けましょう。

インフルエンザの予防・対策方法

睡眠時間を十分にとり、安静にして休養をとりましょう。
お茶やスープでもよいので、水分をしっかり補給します。

インフルエンザの予防・対策方法

① 流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、ウイルス感染後に発症する可能性を抑える効果と、発症した場合の重症化防止に有効とされています。
② 外出後の手洗い
流水、石けんによる手洗いは手指など、体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去する有効な方法です。アルコ―ルを使った手指衛生も効果的です。
③ 適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。とくに乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つようにしましょう。
④ 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高め、ウイルスに感染・発症しないためにも、十分な休養とバランスのとれた食事を普段から心がけましょう。
⑤ 人混みや繁華街への外出は控える
インフルエンザが流行してきたら、人混みへの外出は極力控えましょう。やむを得ず人混みへ行く場合は、不織布(ふしょくふ)製マスクを着用し、飛沫感染を防ぎましょう。

インフルエンザのリスク度チェック

□乳幼児である
□高齢である
□呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患がある
□糖尿病などの代謝異常がある
□免疫機能が低下している

インフルエンザのセルフチェック

□38℃以上の高熱
□体のあちこちで筋肉痛や関節痛がある
□周囲でインフルエンザに感染した人がいる
□昨日まで元気だったのに突然症状が出た
□のどの痛み、咳などが出る
□鼻水や鼻づまりがある

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