認知症

症状が複雑で判断が難しい認知症
レビー小体型認知症

監修・取材協力:おくむらメモリークリニック 理事長
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奥村歩

Medical.T 編集部 M.Imase

  • レビー小体型認知症はアルツハイマー型についで2番目に多い認知症です。
  • 症状が複雑なため、ほかの病気に間違えられたり、早期発見が遅れたりすることがあります。
  • もの忘れの症状に加え、幻視や歩行障害、めまいやのぼせなどの自律神経症状があらわれます。
  • 最適な薬物治療を行うことで改善が期待できます。
  • 多種類の薬によって、認知機能の悪化やふらつき等の副作用がでやすいため、注意しましょう。

レビー小体型認知症の基礎知識

アルツハイマー型に次いで多い認知症で、脳血管性認知症と合わせて「三大認知症」と言われています。65歳以上に多く見られますが、40代~50代でも発症するケースがあります。
症状が多彩で複雑なため、専門医でなければ判断が難しく、その結果、ほかの病気に間違えられたり、見落とされたりするケースもあります。もの忘れの症状とともに、心身の不調・視機能の異常・パーキンソ症状・薬剤過敏症・自律神経失調症のいずれかの症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。また、「できることとできないことの差が大きい」「1日のうちで症状に変動がある」点もレビー小体型の特徴です。
レビー小体型認知症は、抗認知症薬の服用で症状が改善することが多いのも特徴です。

レビー小体型認知症の症状

注意力の低下や視覚認知の障害、記憶障害など、アルツハイマー型認知症の中核症状に似た「もの忘れ」の症状がみられます。ただし、初期から中期にかけては症状が強く出ない場合も多く見落されがちです。もの忘れの症状に加えて、以下の症状があらわれるのがレビー小体型の特徴です。特に、実際にはないものがその場にあるように見える「幻視」はレビー小体型特有の症状と言えます。
・心身ともに調子が悪い(元気がない・不眠・不安・食欲不振など)
・視機能の異常(幻視・目が見えにくいなど)
・パーキンソン症状(動作が鈍くなる・手が震える・歩行が不安定など)
・薬剤に対する過敏症(薬が効きすぎる・薬で症状が悪化するなど)
・自律神経失調症(血圧の変動が大きい・便秘・めまい・排尿障害など)

レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症の脳の中には「レビー小体」という円形の物質がみられることが多くあります。レビー小体が大脳皮質に増えると、記憶障害などの症状があらわれます。

レビー小体型認知症の治療方法

レビー小体型認知症には、症状に合わせた最適な薬物治療を行うことが有効です。
ただし、レビー小体型認知症の症状のひとつに、薬物過敏症があります。多種類の薬によって、症状が悪化したり、薬が効きすぎたりすることもあるため、服用には注意が必要です。風邪薬や花粉症などの市販薬や睡眠薬・安定剤を服用する際は気をつけましょう。

レビー小体型認知症の予防・対策方法

・栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。
・人と話すなど人とのコミュニケーションを積極的にとりましょう。
・散歩やウォーキングなど適度な運動を習慣づけましょう。

レビー小体型認知症のセルフチェック

□実際にはないものが見える
□頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい
□筋肉がこわばる
□歩く際にすり足になる
□平らな場所でつまずくことが多くなった
□もの忘れがある
□気分が鬱々としている

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