血液の病気

リンパ球ががん化する
悪性リンパ腫あくせいりんぱしゅ

監修・取材協力:日本血液学会専門医、日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医 西大須 伊藤内科・血液内科 院長
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Medical.T 編集部 M.Ito

  • リンパ球が異常増殖してがん化する
  • 主にリンパ組織に発生
  • 首や脇の下などに腫れ・しこりが見られる
  • 臓器に発生する場合もある
  • 現時点で原因は解明されていない

悪性リンパ腫の基礎知識

ウイルスや細菌などの病原体と闘って体を守る働きをする血液中のリンパ球が、異常増殖してがん化する病気。主にリンパ組織に発生しますが、胃や肺、甲状腺、肝臓、骨髄など体のあらゆる臓器に発生する場合もあります。
「非ホジキンリンパ腫」「ホジキンリンパ腫」の2つに大別され、非ホジキンリンパ腫が9割以上、ホジキンリンパ腫が1割未満です。

悪性リンパ腫の近年の動向

悪性リンパ腫の種類によって治療成績や治療法が大きく異なります。 近年では、多くの方で治療に良好に反応して劇的に病変は縮小していきますが、最終的には大まかに全体で6割ぐらいの方が完全に病気を克服することが期待できます。

悪性リンパ腫の症状

全身にさまざまな症状が現れますが、最も多いのが、首、脇の下、足の付け根などリンパ節の腫れ・しこり。体の深部にしこりができることもあります。また、発熱、寝汗、体重減少もよく見られます。

悪性リンパ腫の検査方法

しこりのあるリンパ節または腫瘍の一部を切り取り顕微鏡で観察する病理検査を行います。また、全身の状態を知るために、血液検査や画像検査、骨髄検査などを行います。

悪性リンパ腫の原因

現時点で原因はわかっていませんが、遺伝子異常が発症に関係していると考えられています。

悪性リンパ腫の治療方法

進行の程度によって第I期~IV期の4段階に分けられます。
悪性リンパ腫の種類、病期、年齢、体の状態などに合わせて、ステロイドホルモン、抗がん剤による薬物療法、放射線療法、抗体療法、さらには最近の分子標的薬と呼ばれる新しいタイプの薬を用いて治療を行います。また再発例や難治例には自家末梢血幹細胞移植を用いた大量化学療法や他人からの細胞を用いた同種移植と呼ばれる造血幹細胞移植を行う場合もあります。

【病期分類】
●Ⅰ期…1つのリンパ節領域、あるいは1つのリンパ節以外の臓器に病変がある。
●Ⅱ期…2つ以上のリンパ節領域、あるいは1つのリンパ節領域と1つ以上のリンパ節以外の部位に病変がある(横隔膜の上下どちらかのみ)。
●Ⅲ期…横隔膜の上下両方に病変がある。
●Ⅳ期…広い範囲のリンパ節以外の臓器にも病変がある。

悪性リンパ腫の自宅療法(療養方法、再発防止など)

悪性リンパ腫の多くは通院治療が可能ですが、自己管理がとても大切です。白血球が少ない時期には外出を控え、手洗い・着替え・うがいなどを心がけるようにして感染症に気を付けましょう。また、白血球の少ない時期は生ものを避けたり、水分を積極的に摂るなど食事面にも気を付け、規則正しい生活で体力維持に努めましょう。

悪性リンパ腫の予防・対策方法

残念ながら、現時点で特別な予防法はありません。

悪性リンパ腫のセルフチェック

予防・対策はしっかりできていますか?

□  首や脇の下、足の付け根などに腫れ・しこりがある
□ 寝汗がひどい
□ 熱が下がらない
□ 最近急激に痩せた

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