胆嚢の病気
食生活の欧米化により増加!
胆嚢ポリープ
監修・取材協力:岐阜市民病院 胆膵内科部長
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- 胆嚢ポリープの大部分は良性
- まれに大きくなって癌化するものがある
- 最も多いのがコレステロールポリープであり、約90%を占める
- 近年の食生活の欧米化によって増加傾向にある
- 自覚症状は無く、健診の超音波検査等などで偶然発見されることが多い
- 胆嚢ポリープの基礎知識
- 胆嚢ポリープの近年の動向
- 胆嚢ポリープの症状
- 胆嚢ポリープの検査方法
- 胆嚢ポリープの治療方法
- 胆嚢ポリープの自宅療法(療養方法、再発防止など)
- 胆嚢ポリープの予防・対策方法
- 胆嚢ポリープのセルフチェック

胆嚢ポリープの基礎知識
胆嚢ポリープの大部分は良性であるため、定期的な経過観察となりますが、まれに大きくなって癌化するものがあるので要注意です。胆嚢ポリープの中で、最も多いのがコレステロールポリープであり、約90%を占めます。多発しやすいことが特徴で、多くは数mmであり、10mm超えることは稀です。コレステロールポリープは胆汁中のコレステロールが胆嚢粘膜に付着したものが大半であり、近年の食生活の欧米化によって増加傾向にあります。
他には、腺腫(せんしゅ)性ポリープ、過形成ポリープ、炎症性ポリープなどがありますが、いずれも自覚症状は無く、健診の超音波検査等などで偶然発見されることがほとんどで、胆石や胆嚢炎の診断時に同時に発見される場合もあります。

胆嚢ポリープの近年の動向
コレステロールポリープは胆汁中のコレステロールが胆嚢粘膜に付着したものが大半であり、近年の食生活の欧米化によって増えているとされています。
胆嚢ポリープの症状
胆嚢ポリープには自覚症状がないので、一度、超音波検査を受けていただくことをお勧めします。
胆嚢ポリープの検査方法
胆嚢ポリープがコレステロールポリープであるか癌であるかを見分けるポイントは、ポリープの形状(茎の太さ、表面の模様)であり、超音波検査が有用です。MRIやCTよりも小さなポリープを発見することができますが、体格や腸の位置によって胆嚢全体が観察できないことがあります。これを補うための検査が超音波内視鏡検査(EUS)であり、近接した十二指腸から胆嚢を描出することができるため、胆嚢をより詳細に観察することができます。
■コレステロールポリープ画像(撮影:岐阜市民病院)
写真:左から 体外式超音波、超音波内視鏡
胆嚢ポリープの治療方法
① 胆嚢ポリープの大きさが10mm以上
② 経過観察の検査で大きくなってきている
③ 大きさに関わらずポリープの茎が幅広いもの(広基性ポリープ)
といった胆嚢癌が疑われる所見がある場合に胆嚢摘出術が行われますが、胆嚢癌の可能性が高い場合は腹腔鏡下手術ではなく、開腹胆嚢摘出術の適応となります。
胆嚢ポリープの自宅療法(療養方法、再発防止など)
手術によって良性のポリープと診断された場合は通院する必要はありません。療養や再発防止の必要もなく、通常の生活を送ることができます。胆嚢癌であった場合には進行度によって治療・経過観察法が異なるため、主治医の判断に従いましょう。
胆嚢ポリープの予防・対策方法
胆石症などと同様に、BMIが女性で34以上、男性で38以上の肥満者は、非肥満者に比べて発症率が高いとされています。規則正しい生活によって健康を維持することは、万病を予防することに繋がりそうです。
胆嚢ポリープのセルフチェック
自覚症状が無いため、セルフチェックは一度、超音波検査を受けていただくことをお勧めします。