甲状腺の病気
甲状腺に良性のしこりができる
甲状腺良性腫瘍
監修・取材協力:名古屋甲状腺診療所
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- 甲状腺に良性の腫瘍ができる病気
- 腫瘍が大きくなると前頸部の一部の腫れが目立つようになる
- 良性腫瘍には「腺腫」、「腺腫様甲状腺腫」、「のう胞」の3タイプがある
- 自覚症状が無い場合は経過観察
- 治療が必要な場合は甲状腺を切除する手術療法になる
- のう胞の場合はエタノール注入療法(PEIT)の選択肢もある

甲状腺良性腫瘍の基礎知識
甲状腺にしこり(結節、腫瘍)ができる病気を結節性甲状腺腫と呼び、しこりの種類としては、良性のものと悪性のもの(がん)に分類されます。通常はしこりができるだけで甲状腺機能は正常を保っています。腫瘍が大きくなると前頸部の一部の腫れが目立つようになります。甲状腺良性腫瘍には3タイプあり、甲状腺の中に腫瘍が一つであれば「腺腫」、複数ある場合は「腺腫様甲状腺腫」、腫瘍の内部が液体のタイプを「のう胞」と呼びます。良性の場合は自覚症状が無ければ、すぐに治療せず、定期的な経過観察を行います。
※甲状腺の悪性腫瘍のほとんどが甲状腺がんです。その大部分を占めるのは「乳頭がん」になり、その他には「濾胞(ろほう)がん」「髄様がん」「低分化がん」「未分化がん」があり、5種類あります。
甲状腺良性腫瘍の症状
痛みや全身症状が無く、鏡で喉の腫れが気になったり、健康診断時に指摘されたり、家族から指摘されて気付きます。腫瘍が巨大化したり、多数できると気管や食道などの周辺器官を圧迫することもあります。
甲状腺良性腫瘍の検査方法
まず、超音波検査を行い、腫瘍の有無、数、サイズ、性状などを確認します。腫瘍サイズが大きいものや悪性を疑う腫瘍に対しては、穿刺吸引細胞診検査を行います。
甲状腺良性腫瘍の原因
腫瘍ができる原因ははっきり分かっていません。
甲状腺良性腫瘍の治療方法
甲状腺良性腫瘍は頸部の圧迫症状などが無ければ、治療をする必要はありませんが、腫瘍のサイズの変化などを定期的に経過観察する必要があります。腫瘍が増大する場合や悪性の疑いがでてきた場合など、必要に応じて治療が必要になることもあります。治療方法は、腫瘍のある甲状腺を切除する手術療法です。また、腫瘍の内部が液体のタイプの「のう胞」の場合は、「エタノール注入療法(PEIT)」が行われることもあります。
甲状腺良性腫瘍の予防・対策方法
手術後も定期的な通院が必要です。手術後に甲状腺機能となった場合には甲状腺ホルモン薬を続ける必要があります。
甲状腺良性腫瘍で手術が必要な場合
① 細胞診で良性と判断されても超音波などで、がんの疑いが強い
② 腫瘍の大きさが4cm以上
③ 急激に大きくなっている
④ 圧迫症状がある
⑤ 甲状腺機能亢進症になっている
⑥ 甲状腺腫瘍が腫れて縦隔(肺の近く)まで大きくなっている
⑦ 腫瘍への不安や美容上の個人的な理由